2006 Fiscal Year Annual Research Report
SLEモデルとしてのOncostatinM欠損マウスの自己免疫疾患発症機構の解析
Project/Area Number |
18390119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮島 篤 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50135232)
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Keywords | 疾患モデル動物 / 自己免疫疾患 / サイトカイン / 樹状細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
本研究テーマは、「SLEモデルとしてのOncostatin M欠損マウスの自己免疫疾患発症機構の解析」である。これを検証するため、平成18年度は以下の研究内容で解析を行った。 1.多臓器における炎症部位の詳細な解析 加齢により自然発症するOSM欠損マウスの自己免疫症状はSLEであることが、抗核抗体や腎炎などの解析から予想された。しかし、全身性の自己免疫疾患であることを示すためには多臓器における炎症部位の解析が必要であったため、OSM欠損マウスの肺、肝臓、腎臓、脳・脊髄、生殖器等を病理学的・分子生物学的手法により詳細な解析を行った。その結果、肺や肝臓に炎症性細胞の浸潤が認められた。フローサイトメトリー解析により、肺に浸潤した細胞の一部は活性化CD4T細胞であることを明らかにした。さらに、後肢の関節部分が腫れている個体もあり、関節リウマチなどの関節炎の発症も示唆された。 2.実験的胸腺細胞死誘導による自己免疫疾患の誘導 加齢により自然発症するOSM欠損マウスは、その胸腺内に多数のアポトーシス細胞が認められる。そこで、我々は胸腺内の死細胞処理能の低下とその死細胞の蓄積が引き金となって自己免疫疾患が発症するというモデルを立てた。これを検証するために、実験的に生体内の胸腺細胞にアポトーシスを誘導するデキサメタゾン(Dex)を頻回投与することにより、まだ発症していない若年齢のOSM欠損マウスで自己免疫疾患が誘導できるかどうか検討した。その結果、野生型マウスでは、胸腺内にアポトーシス細胞があまり認められず、血清中の抗核抗体価の上昇もさほど認められなかった。一方、OSM欠損マウスでは、胸腺内に多数のアポトーシス細胞が認められ、血清中の抗核抗体価も激しく上昇した。したがって、胸腺内の死細胞処理能の低下とその死細胞の蓄積により自己免疫疾患が発症するというモデルが、実験的に支持された。
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Research Products
(1 results)