2007 Fiscal Year Annual Research Report
透析アミロイドーシス発症の分子機構解明-試験管内モデルと動物モデルの融合-
Project/Area Number |
18390120
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
内木 宏延 University of Fukui, 医学部, 教授 (10227704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 一浩 福井大学, 医学部, 助教 (60324159)
大越 忠和 福井大学, 医学部, 助教 (90362037)
樋口 京一 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20173156)
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Keywords | アミロイド線維 / 透析アミロイド症 / β2-ミクログロブリン / トランスジェニックマウス / 病理学 |
Research Abstract |
わが国における20万人以上の透析患者の内、多くが透析アミロイドーシスを発症するが、その病態解明及び治療法の開発が急務となっている。われわれは試験管透析アミロイド線維形成反応系を駆使し反応機構を解析し、また生体分子及び種々の有機化合物が線維形成に及ぼす影響を解析して来た。本研究では試験管レベル並びに開発中の透析アミロイドーシスのトランスジェニックマウスモデルを用いて(1)β2-ミクログロブリン(β2-m)からのアミロイド線維形成過程を解明すること、(2)種々の生体分子の線維形成・分解過程への影響を解析し発症の分子基盤を解明すること、(3)線維形成・分解過程を修飾する治療薬を探索することが目的である。本年度は以下の成果を得た。 1.β2-mアミロイド線維(fAβ2M)の試験管内形成を誘起する生体内因子として、陰性荷電を持つ界面活性剤であるリゾフォスファチジン酸が有効であることを報告した。透析患者血中においてリゾフォスファチジン酸濃度が増加しているが、試験管内で線維を伸長させる為の有効濃度には達していない。リゾフォスファチジン酸と他の因子(尿毒症物質等)が協同的に線維形成に作用しているかあるいは、炎症局所などでは高濃度に存在する可能性があり、今後検討する予定である。 2.β2-mアミロイド線維の核形成を誘起する生体因子や、影響を及ぼす薬剤を探索する為に、チオフラビンT分光蛍光光度法とマイクロプレート型分光蛍光光度計を用いた、ハイスループット測定システムを構築した。β2-mモノマーから核形成を誘起しうる条件を見出しており、今後探索を進める予定である。 3.マウス由来のβ2-mをノックアウトしたヒトβ2-mトランスジェニックマウス(hβ2M Tg+,mβ 2mKO/KO)の作成に成功している。現在、これらのマウスについて月齢を追ってアミロイド組織病変の発生を検索している。
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