2008 Fiscal Year Annual Research Report
透析アミロイドーシス発症の分子機構解明-試験管内モデルと動物モデルの融合-
Project/Area Number |
18390120
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
内木 宏延 University of Fukui, 医学部, 教授 (10227704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 一浩 福井大学, 医学部, 助教 (60324159)
大越 忠和 福井大学, 医学部, 助教 (90362037)
樋口 京一 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20173156)
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
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Keywords | 透析アミロイドーシス / β2-ミクログロブリン / アミロイド線維 / 試験管内分子間相互作用 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
われわれは本研究で、試験管レベルでの分子機構解明に止まらず、透析アミロイドーシスのトランスジェニックマウスモデルを新たに開発し、β2-mからのアミロイド線維形成過程、及びアミロイド線維のβ2-mへの分解過程を反応速度論的ならびに熱力学的に解析すると共に個体レベルでも検証し、線維形成・分解の統一的モデルを構築すること、これら試験管モデルとマウスモデルの両方を駆使して種々の生体分子の線維形成・分解過程への影響を解析し、透析アミロイドーシス発症の分子基盤、特に関節組織への特異的沈着機構を明らかにすること、及び線維形成・分解過程を修飾する有機化合物を試験管レベルで探索すると共にモデルマウスを用いて検証し、治療薬開発への糸口をつかむことを目指した。本年度は、リゾフォスファチジン酸(LPA)など一部のリゾリン脂質、各種遊離脂肪酸(NEFAs)等、陰性荷電を有する生体界面活性分子が、生理条件下におけるβ2-mアミロイド線維の試験管内伸長反応を促進すること、その分子機構として、LPAおよびNEFAがβ2-mの天然構造を部分的にアンフォールドさせると共に、LPAがアミロイド線維表面に結合し、線維構造を安定化させることにより脱重合を阻害することを明らかにした。また、ヒトβ2-mトランスジェニックマウス(hB2MTg^<+/+>mB2m^<-/->)を作成し、血清β2-m濃度が患者血清の数倍にまで達することを確認した。本研究で得られた知見を統合することにより、透析アミロイドーシスの病態解明に向け、アミロイド線維形成・沈着における生体分子間相互作用モデルを構築することが出来た。
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