2006 Fiscal Year Annual Research Report
組換え近交系マウス群を用いた膠原病のポリジーンネットワークの解析
Project/Area Number |
18390123
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
能勢 眞人 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70030913)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 浩章 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 助手 (30372725)
宮崎 龍彦 愛媛大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (80239384)
|
Keywords | 膠原病 / ポリジーン / 組換え近交系 / MRL / 1pr / MXH / 1pr / SDP表 / 自己抗体 / 環境要因 |
Research Abstract |
申請者らは、膠原病に類似する、関節炎、腎炎、血管炎、唾液腺炎などを同一個体に自然発症するMRL/Mp-1pr/1pr(MRL/1pr)マウスのトータルゲノム解析を通じて、これらの病像が環境要因に影響されやすい複数の同義遺伝子からなる"ポリジーン遺伝形式"をとる疾患であり、このポリジーンの組み合わせが個々の病態・病像の特性を規定していることを示してきた。これらのポリジーンの実体を明らかにするとともに、個々の病像の病理発生機序ならびに環境要因の解析を行うため、膠原病好発系MRL/1prマウスと嫌発系C3H/HeJ-1pr/1pr(C3H/1pr)マウスの2系統間の30代以上の兄妹交配により、世界で初めての組換え近交系(RI系)膠原病モデルマウスMXH/1pr、15系統を樹立した。本研究では、このRI系マウスが"経時的"に病態、病理を解析し得る点、またそれらを人為的に"任意の環境因子"で制御し得る点をフルに利用し、ポリジーンに支配されて発現する膠原病の病態と病理発生のプロセスならびに、環境要因による膠原病の促進・抑制機構をゲノムとの関連をもって解明する。初年度で以下の点を明らかにした。 1)全染色体を対象に、両親系統間の多型マイクロサテライトマーカーを用いて、詳細な系統間分布表(strain distribution pattern table、SDP表)を完成し、これを用いて膠原病の個々の病像のQTLを明らかにした。さらにQTLを絞り込むためSNPs解析により密度の高いSDP表を作成中である。2)系統毎に経時的に膠原病の各病像の組織病理学的スコアリングを行った結果、各病像について好発系と嫌発系が存在し、かつ中間型にとどまる系統や早発系および遅発系が存在することが明らかとなり、RI系においてポリジーン遺伝形式モデルが確立されていることを実証した。3)系統毎に異なった発現プロファイルを示す種々の自己抗体の病因論的意義を明らかにするために、その経時的変化と病像特異性を解析した。いくつかの自己抗体は特定の病像発症と密に関連していることを見出した。
|
Research Products
(4 results)