2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内寄生性細菌由来の細菌性モジュリンの感染細胞内作用機構の解明とその応用
Project/Area Number |
18390134
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光山 正雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10117260)
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Keywords | 細胞内寄生性細菌 / 細菌性モジュリン / リステリア菌 / 結核菌 / サイトカイン / マクロファージ |
Research Abstract |
各種のリステリア菌由来タンパク性モジュリンをリコンビナント標品として作成し、サイトカイン誘導活性を調べ、マクロファージ細胞質内で重要なリガンド部位がN末端の50アミノ酸までの部位であることが判明した。PEST配列の重要性はアミノ酸置換標品で示されたが、PEST配列を導入しても必ずしもサイトカイン誘導活性は発現しなかった。野生型リステリア菌のhly遺伝子を欠損させた変異株に、各種遺伝子の相補導入を行った株を作製した。これらを用いた実験により、菌のマクロファージ内食胞からの脱出により発現誘導されるサイトカイン、脱出以降細胞質でモジュリンタンパクが何らかの細胞質因子を活性化して初めて産生されるサイトカインがあることが明らかとなった。後者は、IL-1やIL-18など何れもcaspaseの活性化が必須な種類のサイトカインであった。Caspaseの活性化は認められたが、阻害剤を用いた実験からは、caspase-1のみでなく、別の経路の関与の可能性も示唆され、数種の候補因子のノックアウトマウスを入手して解析を続けている。多数のCDCファミリータンパクが示す膜傷害活性のpH感受性について詳細な解析を行い、リステリア属菌種由来のものだけがアルカリ域pHで失活し、その特徴は第4ドメインの構造に依存する新たな知見が得られた。Th1サイトカイン誘導活性を示すモジュリン標品をアジュバントとして用い、卵白アルブミンで誘導したアレルギーが改善されること、結核菌死菌免疫でも防御免疫が誘導できることが示され、この種のタンパクの生体防御賦活剤としての応用可能性を示す基礎的知見が得られた。病原性の異なる結核菌株を用い、一部のcaspase活性化により感染宿主細胞のネクローシスを抑制する活性が病原株にあり、ミトコンドリア膜傷害が関与する可能性が示された。このような活性を示す病原菌株特有の因子の同定を進める必要が生じた。
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Research Products
(7 results)