2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞傷害性T細胞からのHIV-1の逃避機序に関する研究
Project/Area Number |
18390141
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
滝口 雅文 熊本大学, エイズ学研究センター, 教授 (00183450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 慎一 国立国際医療センター, エイズ治療・研究開発センター, センター長 (20194326)
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Keywords | ウイルス / 病原性 / 感染制御 / HIV-1 / T細胞 |
Research Abstract |
我々は、2つのHLA-B^*5101拘束性Polエピトープ特異的CTLが、非常に強いHIV-1増殖抑制能を示すことを明らかにし、これらのCTLが体内でHIV-1増殖抑制に関与している可能性を示唆した。そこで、3つの進行タイプ(LTNP,Slow Progressor,Progressor)で、これらのHIV-1特異的CTLとそのエピトープ部位に差が見られるかを検討した。その結果、Pol283特異的CTLは、唯一LTNPのみで検出されることが明らかになった。このエピトープ部位のHIV-1の変異を調べたところ、LTNPは変異がないがCTLの認識が低下しない変異のみが見られた。一方、Slow Progressor, Progressorでは、CTLの認識が低下する変異のみ見られた。もう1つのPo1743特異的CTLは、ほとんどの患者で検出され、CTLの認識が障害される変異は見られなかった。以上のことからPol283エピトープ上に見られる逃避変異の出現により、これらのウイルスを排除できなくなり、病態が進行することが明らかになった。 一方、HLA-B5101を持った急性感染症の1名を解析したところ、特異的CTLの認識が低下するエピトープをもったウイルスに感染していることが明らかになった。このエピトープに対しては特異的CTLの誘導は見られず、このような逃避エピトープを蓄積したHIV-1が集団全体に増えることで、HIV-1感染者にとって特異的な免疫誘導はされず不利な状況になりつつあることが推測された。
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Research Products
(4 results)