2006 Fiscal Year Annual Research Report
難治性慢性ウイルス感染症及び腫瘍に対する新規細胞治療システム
Project/Area Number |
18390145
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 直樹 国立感染症研究所, エイズ研究センター, センター長 (00094053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 典生 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40323703)
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Keywords | 細胞治療 / 難治性慢性感染症 / 腫瘍 / ウイルス |
Research Abstract |
本研究では、多くのウイルス性腫瘍、非ウイルス性腫瘍を用いてその病態モデルをNOGマウスに再現することに成功した。それらはEBVにより不死化したBCL細胞、KSHV(カポシ肉腫関連ヘルペスウイルス)感染細胞であるPrimary effusion lymphoma(PEL)、ATL患者由来の白血病細胞、ホジキン腫瘍、乳癌、胃癌など多岐にわたる。とくに興味深い結果として、乳癌細胞とKSHV陽性株細胞が、T、B、NK細胞を欠損するNOGマウスで活発な増殖とともに全身に浸潤を起こすのに対し、TとB細胞は欠くもののNK細胞は存在しているNOD/SCIDマウスではNOGマウスに比較して、その増殖、浸潤はともに有意に抑制されていた。そこでこのNOD/SCIDマウスにNK細胞を抑制するTM-β1抗体を投与したところそれらの増殖性と浸潤能は著明に回復した。さらにHTLV患者(ATL)由来の白血病細胞の病態モデルを構築した上で、他家NK細胞がこれを効率よく抑制するという免疫治療法のモデルの確立に成功した。また同じ系にHIV-1 protease inhibitorであるritonavirを投与するとその増殖と浸潤は著明に抑制された。 以上、今まで困難であった実際のヒト細胞を用いた病態モデルマウスを簡便かつ高効率に構築することが可能となった。このことはヒト病態モデルマウスとしても実際の患者における病態を再現できる可能性を示唆しており、その意義は小さくない。またNK細胞がさまざまな腫瘍系の増殖と浸潤をマイナスに制御していることが示唆された。現在、このシステムを用いて他家および自己NK細胞やCD8T細胞などを用いてex vivoで活性化後にマウスに投与し、その免疫治療効果を確立しようと試みているところである。
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Research Products
(6 results)