2006 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫システムにおけるCDMファミリー分子の役割とその制御機構の解明
Project/Area Number |
18390154
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福井 宣規 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (60243961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 芳彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (00398083)
錦見 昭彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (70404019)
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Keywords | 免疫学 / シグナル伝達 / 生体分子 / アレルギー・ぜんそく / 発生・分化 |
Research Abstract |
DOCK2は線虫のCED-5、ショウジョウバエのMyoblast cityの哺乳類ホモログで免疫系特異的に発現する分子である。DOCK2はRac活性化を介して細胞骨格の再構築を誘導し、リンパ球の遊走や活性化を制御するが、DOCK2の自然免疫系における機能は不明である。このため本年度は、好中球におけるDOCK2の役割を明らかにする目的で研究を行った。好中球は極めて運動性の高い、生体防御システムの最前線で機能する白血球である。これまでノックアウトマウスを用いた解析より、好中球の遊走や活性酸素産生において、Racが重要な役割を演じることが明らかにされているが、Rac活性化を制御する分子は不明であった。私達はDOCK2欠損好中球では、fMLP刺激によるRac活性化が障害されており、その結果leading edgeにおけるFアクチン及びPIP_3の集積が消失することを見いだした。さらに、GFPノックインマウスを用いて、DOCK2がPIP_3と会合し、PI3K依存的に細胞膜移行することを明らかにした。興味深いことに、DOCK2によるRac活性化は、持続したPIP_3の集積やAktのリン酸化には重要であったが、PIP_3の産生そのものには全く影響しなかった。以上より、DOCK2は好中球の遊走において、RacとPIP_3間の正のフィードバックループで機能するRac活性化分子であるが、そのフィードバック機構はPI3Kの触媒活性を介したものではないことを明らかにした。
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