2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫システムにおけるCDMファミリー分子の役割とその制御機構の解明
Project/Area Number |
18390154
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福井 宣規 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 教授 (60243961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 芳彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (00398083)
錦見 昭彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70404019)
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Keywords | DOCK2 / Rac / 樹状細胞 / 遊走 / ケモカイン / 細胞内動態 |
Research Abstract |
DOCK2は線虫のCED-5、ショウジョウバエのMyoblast cityの哺乳類ホモログで免疫系特異的に発現する分子である。DOCK2はRac活性化を介して細胞骨格の再構築を誘導し、リンパ球の遊走や活性化を制御するが、DOCK2の自然免疫における役割は依然として不明である。このため本年度は、樹状細胞や好中球を対象にDOCK2の機能や細胞内動態制御機構につき解析した。 自然免疫を担う細胞の1種である樹状細胞は、感染に伴い速やかに移動し、病原微生物を貧食し、T細胞に抗原を提示する一方、Toll-like受容体を介して病原微生物を認識し、サイトカインを分泌することで獲得免疫応答を制御している。樹状細胞はその形態や機能、細胞表面マーカーの違いから骨髄系樹状細胞(mDC)と形質細胞様樹状細胞(pDC)に大別される。pDCはウイルス感染に伴い大量のI型インターフェロンを産生することから注目を集めている細胞であるが、その遊走制御機構は不明であった。私達はDOCK2欠損マウスにおいてpDCの分化・成熟は正常であるにも関わらず、2次リンパ組織においてpDCが著減することを見いだした。DOCK2欠損pDCではRac活性化が著しく障害されており、その結果いずれのケモカインに対してもほとんど遊走応答を示さなかった。これに対して、DOCK2欠損はmDCにおけるRac活性化や遊走応答にはほとんど影響を与えなかった。以上より、mDCとpDCの遊走において異なる分子がRac活性化を担っていることを明らかにした。また、DOCK2細胞内動態の制御機構を明らかにする目的で、好中球を対象に種々の阻害剤を用いたスクリーニングを行い、最終的にDOCK2の先導端への集積を制御する分子機構を明らかにした。
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