2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化管肥満細胞とIgEを介した寄生虫感染免疫におけるPI3キナーゼの機能解明
Project/Area Number |
18390155
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小安 重夫 Keio University, 医学部, 教授 (90153684)
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Keywords | ノックアウトマウス / MAdCAM-1 / α4β7インテグリン / IL-3 / 阻害剤 / AID |
Research Abstract |
本研究の目的はPI3K欠損マウスにおいて消化管肥満細胞が欠損する理由を解明することであった。前年度に、消化管肥満細胞分化におけるPI3Kの機能として、消化管への異動に重要なa4β7インテグリンの機能にPI3Kが重要であることが明らかになった。肥満細胞の主要な増殖因子であるSCFの受容体、c-kitの下流でa4β7インテグリンが活性化される経路にPI3Kが重要であり、PI3Kを欠損することでこの経路が機能不全に陥る。一方、PI3K欠損マウスにおいても糞線虫の感染に時に消化管肥満細胞の動員が見られることは一見矛盾するようで興味深かったが、本年度はこの経路も精査し、炎症誘導時には肥満細胞のもう一つの増殖因子であるIL-3が発現し、IL-3経路にはPI3Kが必須ではないために消化管肥満細胞の動員が観察されることが明らかとなった。 IgE調節の研究からは昨年までにPI3KのクラスIAに属するp110δサブユニットがIgEへのクラススイッチを負に制御することを明らかにした。本年度はその分子機構を精査し、以下のことが明らかになった。In vitroで脾臓のB細胞をCD40とIL-4で刺激することで、lgEヘクラススイッチを誘導することが出来るが、この時PI3Kを阻害するとAIDの発現亢進とIgEの定常領域をコードするCε遺伝子の転写が亢進し、結果としてクラススイッチ組換えが有意に亢進することが明らかになった。また、分子機構は明らかではないが、PI3KはIgEの発現をタンパク質レベルでも抑制していることが明らかになった。従来からIgEの発現は細胞密度が高くなると低下する現象が知られていたが、この現象にもPI3Kが関与することを明らかにした。すなわち、P110δ特異的な阻害剤の存在下では細胞密度の増加によるIgEの発現低下が観察されなくなり、細胞数に比例したIgE発現が観察された。
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Research Products
(5 results)