2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染に応答した自然免疫誘導シグナルの生理機能の解析
Project/Area Number |
18390156
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米山 光俊 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (40260335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 尚志 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10156870)
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Keywords | 自然免疫 / インターフェロン / ウイルス / RNAヘリカーゼ |
Research Abstract |
ウイルス感染に対する生体防御において、I型インターフェロン(IFN)は感染初期の速やかなウイルス排除という重要な役割を果たしている。本研究では、ウイルス感染を細胞内で検知し、IFN誘導に必須なシグナル伝達分子であるRIG-Iヘリカーゼファミリーの機能に焦点を絞り、自然免疫システム誘導メカニズムの解明を目指した解析を行った。 第一に、これまでその発現様式が明らかになっていなかったIII型IFN(IFN-λ1,λ2,λ3)について、その発現制御機構について検討を行った。その結果、III型IFNもI型IFN(IFN-α,IFN-β)と同様に、RIG-Iを介したシグナル伝達経路によって制御されていることが明らかになった。さらに、ヒトIFN-11遺伝子のプロモーター領域を決定し、そこにはIFN regulatory factor (IRF)とNF-κBが結合して機能していることを示した。 第二に、RIG-Iファミリー分子のひとつであるMDA5の機能解析のため、ノックアウトマウスの解析を大阪大学・審良静男教授らとの共同研究で行い、MDA5がRIG-Iと同様にウイルス感染に応答した自然免疫の誘導に必須な役割を担っていることを明らかにした。しかし一方で、MDA5は主にピコルナウイルスに応答したシグナルに関与していることが明らかになり、RIG-IとMDA5では監視するウイルスの種類に違いがあることを示した。さらに、RIG-Iの生理的な役割を明らかにするために、RIG-Iを介したシグナルを人為的に細胞内へ導入する実験系を開発し、RIG-Iシグナルによる細胞応答について解析し、現在、この実験系を用いたトランスジェニックマウスの作製を進行させており、今後この実験系を用いて生理的なRIG-Iシグナルの機能について解析を進めてゆく予定である。
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