2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390157
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濃沼 信夫 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60134095)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 道哉 東北大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70221083)
|
Keywords | 医療事故 / インシデント / マンパワー / 看護業務 / 有害事象 |
Research Abstract |
【目的】患者の視点に立った医療の実現が目ざされる中で、安全の確保を通じて患者と国民の安心と信頼を取り戻すことは最優先の医療政策課題となっている。わが国の医療現場の患者当たり人員配置は欧米に比べ極端に少ない状況にあり、このことが医療事故のリスクを高めている可能性がある。本研究は、これまでの安全対策で必ずしも十分な検討がされてこなかった、人的資源と患者安全との関係を明らかにし、今後の科学的かつ合理的な安全対策を検討するための基礎資料を得ることを目的とする。 【方法】急性期病棟を対象として、インシデント報告書、出勤簿、病棟管理日誌を用いた後ろ向き調査(4病院27病棟)、および看護業務量(1週間)とマンパワー量に関する前向き調査(6病院25病棟、看護職員580人)を実施した。 【結果と考察】1病棟1日あたりインシデント・アクシデントの発生率は14.1%であり、他の報告(有害事象発生率6.4%)よりやや高めであるが、本結果は未然に防止できた事例が含まれている影響と思われる。種類別では、転倒転落(発生率6.1%)は、患者数が多く、患者あたり看護時間が短い場合に多く起きていた。チューブトラブル(2.4%)は、患者数が少ないが重症・要注意の患者が多く、患者あたり看護時間が長い場合に多く起きていた。薬剤関連(4.4%)および処置関連(0.5%)については、患者数や看護時間との関係が認められなかった。インシデントの種類によって看護時間による影響が異なることが示唆された。前向き調査の結果、1病棟1日あたりヒヤリハット発生率は57.7%で入院患者数が多く、手術・検査件数が多く、総看護時間が長い場合に多く発生していた。その他の要因として、業務密度や患者の重症度による影響も考えられ、これらの要因との関係も検証する必要があると考えられる。
|