2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390157
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濃沼 信夫 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60134095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 道哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70221083)
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Keywords | 医療安全 / 人的資源 / 人員配置 / システムモデル / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、これまでの安全対策で必ずしも十分な検討がされてこなかった、人的資源と患者安全との関係を明らかにし、今後の科学的かつ合理的な安全対策を検討するための基礎資料を得ることを目的とする。本年度は、看護配置の違いによる医療の質・安全への影響について検討するため、臨床研修病院12施設に勤務する看護職員を対象に自記式質問紙調査を実施し、病棟看護師の勤務状況、仕事のストレス要因、ニアミス・エラー頻度、疲労状態などについて看護配置別に比較した。 ニアミス・エラー頻度は看護配置と関連し、勤務中のヒヤリハットは7対1、10対1、15対1では、日勤はそれぞれ1.0倍、1.3倍、1.8倍に、深夜勤は1.0倍、1.6倍、2.8倍となる。この結果から、手厚い看護配置による安全確保の可能性が示唆される。また「勤務中の体力的限界」、「翌日への疲労蓄積」、「疲労による能率・作業量の低下」、「疲労による集中力・注意力の低下」の項目で看護配置との関連がみられた。手厚い看護配置によって疲労やストレスが軽減され、疲労に伴う仕事への影響も軽減する可能性がうかがえる。看護配置と休憩時間との関連をみると、手厚い看護配置になるにつれ、各勤務帯において休憩時間が増し、また無休憩の割合が減少していた。 患者サービスについては「患者の疑問・不安に十分に対応しなかった」や「患者・家族とのトラブル」の頻度は、手厚い看護配置になるほど少なかった。看護配置の多寡は、安全性とともに患者サービスにも影響を与える可能性がある。少ない看護配置では「スタッフとのトラブル」や「他職種とのトラブル」が多く、「職場の支援」や「仕事への満足度」が低くなる。看護配置は、患者サービスの優劣に加え、職員の満足、職揚でのサポート体制にも影響を与えることがうかがえる。
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