2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18390157
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濃沼 信夫 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (60134095)
|
Keywords | 医療安全 / 人的資源 / 人員配置 / インシデント / アクシデント / ヒヤリ・ハット / 疲労 / ストレス |
Research Abstract |
【目的】これまでの安全対策で必ずしも十分な検討がされてこなかった、人的資源と患者安全との関係を明らかにし、今後の科学的かつ合理的な安全対策を検討するための基礎資料を得ることを目的とする。具体的には、急性期病棟の看護業務および看護師の勤務実態から人的資源と患者安全との関係を検討する。 【方法】インシデント報告書、出勤簿、病棟管理日誌等を用いた後向き調査(4施設27病棟)、看護業務量と投入マンパワー量に関する前向き調査(6施設25病棟)、入院患者の看護度と看護必要度に関する横断調査(入院患者延べ3827名)を実施した。また、看護人員配置の多寡による影響について検討するため、延べ12施設の病棟勤務の看護職員を対象に自記式質問紙調査を実施した。 【結果と考察】インシデント・アクシデントの発生は4.54件(1,000patient-day)であり、病棟患者数が多く、重症や要注意患者数、担送や護送患者数、手術や検査件数が多い場合に起こりやすい。ヒヤリ・ハットの発生は41.2件(同)であり、入退院数、手術・検査件数、ナースコール回数が多く、入退院や患者移送への対応時間が長く、患者当たりの直接業務時間が少ない場合に多く起きていた。患者安全の観点からも適切な看護配置が必要であり、患者数による配置基準だけではなく、患者の重症度や病床の回転率、看護人員配置のための指標などを考慮した新たな基準が必要と考えられる。また、入退院や患者移送の業務に専念する人員や、フロートナースの配置など柔軟性のある人員の配置が望まれる。 【結論】手厚い看護配置は、看護師の疲労やストレスを軽減し、疲労に伴う仕事への悪影響を減らす可能性が示唆され、結果的にエラーやニアミスの減少に繋がると考えられる。すなわち、医療安全の観点からも手厚い看護配置を推進する意義は大きいと考えられる。
|