2008 Fiscal Year Annual Research Report
緊急事態対応医学の体系化とシステム整備:院内救急からテロ・災害時の地域連携まで
Project/Area Number |
18390160
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
嶋津 岳士 Kinki University, 医学部附属病院, 教授 (50196474)
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Keywords | 災害医療 / 救急医療 / 緊急事態 / テロ / NBCテロ / 院内救急 / 中毒 / 医療事故 |
Research Abstract |
1.病院内急変事例の収集と分析では、大阪大学および近畿大学医学部附属病院の事例を検討したところ、施設により発生頻度がかなり異なることが明らかとなった。これは、職員の認知、発動の基準、通報のシステム等によるものと考えられたが、今日世界中で注目されている病院内急変に対する迅速対応チーム(RRT)導入を考える上で大きな課題である。 2.病院内での感染事例に対する緊急対応では、ノロウィルス感染事例を経験し、その問題点について分析を行い、感染症サーベイランスに救急部門が果たしうる役割と条件を評価し、日本救急医学会学術集会で報告を行った。 3.災害に対する病院の対応体制の整備では、(1)近畿大学病院の既存の災害対応マニュアルを評価した上で、これまでの災害医療研究の成果を踏まえた暫定的な改訂版を作成した。また、院内での災害訓練(20名の患者受入を想定)を行い、院内の課題を職員の意識向上が得られた。今後は院内の多職種が参加する委員会を組織してマニュアルの改訂を継続する。また、(2)Hospital MIMMSについては、英語テキストの翻訳(永井書店、2009年3月)を出版した。また、講習会を3回(東京、三重、滋賀)で実施したところ、各地の医師会からの講習依頼を受けており、わが国の病院における災害対応への効果が大いに期待される。H-MIMMSの手法や考えは、災害現場での活動を主とする大阪府DMAT講習会でも応用可能であった。 4.地域における活動としては、近畿大学周囲の住民への啓蒙(地震災害に関する講義)、院内職員への講習会(災害総論)、実技実施(トリアージ)を行った 5. 緊急事態対応医学に関する3年間の研究の成果の骨格となる概念と総論、災害対応、病院内急変対応に関する部分をまとめて近畿大学医学雑誌に投稿・出版した。
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Research Products
(13 results)