2008 Fiscal Year Annual Research Report
急性期医療における有害事象による医療費構造の変化と質保証コストに関する検討
Project/Area Number |
18390164
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大道 久 Nihon University, 医学部, 教授 (60158805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅里 良正 日本大学, 医学部, 准教授 (60213485)
寺崎 仁 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (90227512)
橋口 徹 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (20337439)
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Keywords | 有害事象 / 医療事故 / 機会費用 / コスト分析 / 病院予算 / トレーサビリティ |
Research Abstract |
本研究において、手術部位の誤認や薬剤の誤投与など回避可能であったとかんがえられた有害事象の事例を収集して、その防止のために必要となる資源または費用を推定した。これらの分析から、事故防止には日常的な病院の組織的な予防活動が基本であることが認識された。今年度は、改めて事故防止と医療の質保証のために投入されるべきコストのあり方の論議と、現状を把握するために調査結果の分析を進めた。昨年度に実施した16病院を対象にした調査結果を分析する過程で、専従医療安全管理者の配置や医療安全委員会の開催、及び研修会の実施等の人的資源の投入状況は安定したデータが入手できるが、安全に配慮された医薬品の使用や事故防止のための用具・備品・設備の導入に関する単年度のデータは信頼性の観点から制約が大きいことが明らかとなった。 そこで、人的資源の投入状況についてより多くの病院を対象に調査する必要があると考え、専従者・管理者等の安全関連の直接業務のみならず、医師・看護師等の医療従事者が医療安全確保のために委員会出席や研修会参加などで費やされた機会費用を把握する方法を検討した。近年、医療安全と関連して患者・家族からの相談や苦情が増加し、時に紛争化して無視できない業務量になっていることが指摘されており、そのための人的資源の投入状況を把握する必要があると考えられた。その成果は記入が容易な調査票として設計され、全国の1,600病院を対象に大規模調査が実施され、現在回収中である。 一方、医薬品や医療材料の安全な使用のために、バーコードやICタグによるトレーサビリティを確保した運用が有効であることが認識されつつあり、医療現場での適用が求められている。運用のための費用と得られる効果についての検討は本研究のテーマに適合するので、個別課題として検討に着手したところである。次年度に向けて一定の成果を出したいと考えている。
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Research Products
(4 results)