2006 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンの生死を決定づけるカチオンチャネルの機能に関する研究
Project/Area Number |
18390166
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 周司 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60177516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 助手 (50402798)
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Keywords | TRPチャネル / 神経細胞死 / グリア細胞 / カルシウムイオン / イオンチャネル |
Research Abstract |
Transient Receptor Potential vanilloid subtype 1(TRPV1)はカプサイシンをはじめとするバニロイドやプロトンおよび熱により活性化するCa2+透過性の高い非選択的カチオンチャネルである。これまでに感覚神経においては侵害性刺激を媒介することなどが明らかになっており、非常に研究がすすんでいるものの、広く分布が確認されている中枢神経系における機能に関しては未だ不明な点が多く残されている。そこで本研究では、初代培養大脳皮質ニューロンを用いて中枢神経系におけるTRPVlの神経細胞死における役割について検討した。培養10-12日目の大脳皮質ニューロンに対して免疫染色を行ったところほぼ全ての細胞においてTRPV1の発現が確認された。ウエスタンブロット法によりTRPV1タンパクと想定される約100kDaのバンドが検出され、その発現量は経口的に増加した。TRPV1活性化薬であるcapsaicin (1-10μM)の適用により細胞内Ca2+濃度の上昇が観察され、その上昇はTRPV1の選択的アンタゴニストであるcapsazepine(10μM)によりほぼ完全に抑制された。さらに、大脳皮質ニューロンにcapsaicin(1-30μM)を24時間処置すると神経細胞死が惹起された。また、2時間のcapsaicin(10-300μM)処置後、24時間維持することにより遅延性神経細胞死が観察された。Capsaicinによるこれらの神経細胞死はcapsazepine(10μM)およびTRPV1阻害作用を有するruthenium red(30μM)によって有意に抑制された。以上の結果から、大脳皮質ニューロンにおいてTRPV1が機能的に発現しており、その過剰な活性化により神経細胞死が誘導されることが示された。
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Research Products
(2 results)