2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンの生死を決定づけるカチオンチャネルの機能に関する研究
Project/Area Number |
18390166
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 周司 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (60177516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 助教 (50402798)
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Keywords | TRPチャネル / 神経細胞死 / グリア細胞 / カルシウムイオン / イオンチャネル |
Research Abstract |
今年度はTRPM2ノックアウトマウスを用いて炎症性疼痛および神経障害性疼痛および一般行動におけるTRPM2の役割について検討を行った。TRPM2ノックアウトマウスでは正常状態において機械的非侵害刺激、熱性侵害刺激に対する応答が減弱しており、坐骨神経部分結紮による神経障害性疼痛も抑制されていた。また、カラゲニン誘発炎症性疼痛モデルにおける機械的アロディニア、熱性痛覚過敏、さらに浮腫形成が抑制され、カラゲニン投与後の炎症部位において、マクロファージの活性化、好中球の浸潤が抑制され、IL-1β、TNF-α前駆体の産生も抑制されていた。以上のことから、TRPM2は正常時の刺激受容応答に関与し、マクロファージや好中球などの免疫細胞の活性化を介して炎症性疼痛や神経障害性疼痛に関与していることが示唆された。一般的な生理学的パラメータはKO、野生型マウス間に違いはみられなかった。ロータロッド試験法における落下潜時は両遺伝子型マウス間に違いはみられなかった。両遺伝子型高架式十字迷路試験法におけるオープンアームでの滞在時間、侵入回数は両遺伝子型マウス間に違いはみられかったものの、クローズドアームへの侵入回数は野生型に比べKOマウスで有意な増加がみられたことから、KOマウスにおいて探索様行動活性が上昇していることが示唆された。強制水泳試験法における無動作到達時間、総無動作時間は両遺伝子型マウス間において有意な差はみられなかったものの、前者の延長、後者の短縮の傾向がみられたことから、KOマウスにおいてうつ様行動が減弱していることが示唆された。Resident-intruder試験法における総攻撃時間、攻撃頻度は野生型に比べKOマウスで有意な延長及び増加がみられたことから、KOマウスにおいて攻撃性が上昇していることが示唆された。以上の結果よりTRPM2遺伝子欠損により、探索様行動の上昇、うつ様行動の減弱、攻撃性の上昇が起こることが示唆された。
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Research Products
(4 results)