2007 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNAと蛋白の発現統御異常の検出によるオーダーメイド癌診断システムの構築
Project/Area Number |
18390171
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 隆 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50231395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 聖 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (20372112)
冨田 秀太 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10372111)
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
梛野 正人 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20237564)
光冨 徹哉 愛知県がんセンター, 分子腫瘍学部, 研究員 (70209807)
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Keywords | マイクロRNA / マススペクトロメトリー / プロテオミクス / 網羅的発現解析 / バイオインフォマティクス解析 |
Research Abstract |
本年度は各種腫瘍組織試料について、各種の臨床病理学的パラメーター情報とともに更なる収集を図るとともに、マイクロRNAと蛋白の網羅的発現解析を推進した。 昨年度の研究において、ヒトゲノム上のマイクロRNAをほぼ網羅したマイクロアレイを用いた解析に関わる諸条件についてはその検討を完了したことを受け、本年度は詳細な臨床病理学的データが付随する肺癌外科切除例(126例)の腫瘍組織検体から抽出したRNAを対象に、470個のマイクロRNAが貼付されたマイクロアレイ法を用い、マイクロRNAの網羅的発現解析を遂行した。外科切除後の予後との関連について、5年以内の再発死亡を来たした患者群と、5年以上無再発生存を得られた群を抽出し、有意に発現量に差が見られるマイクロRNAを探索した。その結果、増えつつある肺癌の中でも特に最近問題となりつつある肺腺癌症例において、外科切除後の予後と有意に相関するマイクロRNA遺伝子26個を同定した。これらについて現在さらに、TaqMan法によるreal-time RT-PCR法を用いた検証を行いつつある。 一方、蛋白の網羅的解析については、多次元ナノ高速液体クロマトグラフィーとタンデムマススペクトロメトリーを組み合わせた、iTRAQラベリング法を用いた解析システムの構築を完了し、膵癌手術試料を用いた検討を進めた。その結果、膵臓癌の発生母地となる正常膵管に比較し、3倍以上の高発現を認める蛋白を35種類同定することに成功した。さらに、得られた知見について三連四重極型質量分析装置を用いたMultiple Reaction Monitoring scanにより検証し確認した。 来年度は、本年度の研究に得られた成果をさらに発展させ検証するとともに、マイクロRNAと蛋白の発現制御システムの失調が、癌の発症と進展に果たす役割を明らかとし、オーダーメイド医療の実現を可能とするシステム構築へと結び付けたい。
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Research Products
(12 results)