2006 Fiscal Year Annual Research Report
バンコマイシン耐性腸球菌の拡散防止に向けた前向き疫学調査と臨床微生物学的研究
Project/Area Number |
18390172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一山 智 京都大学, 医学研究科, 教授 (30223118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯沼 由嗣 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90303627)
高倉 俊二 京都大学, 医学研究科, 助手 (10378630)
藤田 直久 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (40199336)
池 康嘉 群馬大学, 医学研究科, 教授 (60125820)
荒川 宜親 国立感染症研究所, 細菌第二部, 部長 (10212622)
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Keywords | バンコマイシン耐性腸球菌 / 院内感染 / 遺伝子型解析 / 集団発生 / 地域内病院間伝播 / サーベイランス |
Research Abstract |
平成17、18年度に京都府内の病院入院患者および介護施設入所者対象のバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)保菌疫学調査を実施し、VRE監視体制、VRE早期検出を目指したスクリーニングおよび検出病院に対する感染拡大抑止策の推進を行った。平成17年度のVRE検出1/2872名に対し、平成18年度は19/2451名に、検出病院は1.0%から10.4%に増加していた。検出15施設における初検出時の病棟内入院患者保菌調査によって、67%(10施設)では複数の保菌者が発見されること、臨床検査便検体を用いたVREスクリーニングによる発見は、通常の臨床細菌検査による発見時と比較して、VRE保菌者集団発生が有意に抑制されることを明らかにした。また、施設毎の菌株遺伝子型相同性の解析から、増加したvanA型E..faeciumのほとんどが3つのサブクラスターからなる同一遺伝子型クラスターに属し、3つのサブクラスターは全て、各々VRE保菌者の大規模集団発生の起きた病院由来株を含むことを明らかにし、集団発生による地域内の病院間伝播誘発を裏付ける知見を得た。これらの結果に基づき、VRE保菌者の早期発見体制と発見時の標準的対策を示した指針を策定し、京都府内の全病院、介護施設に協力・遵守を要請した。この指針を京都大学医学部附属病院感染制御部のホームページ上に公開し、第81回日本感染症学会総会(京都、平成19年4月)にて発表した。 また、全国的に同様の状況が起こりうると仮定し、全国68の大学医学部附属病院を対象としたVREサーベイランスを平成19年2月より開始した。全国から収集したVRE株の菌株遺伝子型相同性の解析、腸球菌表面蛋白(esp)遺伝子、multilocus-sequence typingによるstrain type、耐性プラスミドの解析実験を開始している。
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