2008 Fiscal Year Annual Research Report
尿中ジアセチルスペルミンの腫瘍マーカーとしての多能性および汎用性の研究
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18390176
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
平松 恭子 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (80181189)
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Keywords | polyamine / tumor maker |
Research Abstract |
ポリアミンは、細胞増殖と深く関連している物質であり、腫瘍マーカーとしての応用の可能性が長年検討されてきた。我々はHPLC法によるポリアミンの分画測定法を確立し、ヒトの尿中の微量ポリアミン成分N^1,N^<12>-diacetylspermine(DiAcSpm)が、癌の病態とよく相関する指標であることを見出し、DiAcSpmを腫瘍マーカーとして確立すべく、その分析法の簡便化、精密化、自動化を進めるとともに、腫瘍マーカーとしての性能について検討を進めている。我々はすでに、DiAcSpm特異抗体の調製に成功してELISA法を確立し、さらに、金コロイド凝集法を利用した測定試薬の開発を進め、汎用生化学自動分析機に搭載可能な自動化DiAcSpm測定試薬を作成することに成功した。これらの分析法を利用して、大腸がんを中心に多数の症例について検討した結果、DiAcSpmは既存のマーカー(CEA,CA19-9)より高い検出感度を示すこと、特に早期大腸がんに対して便潜血検査と匹敵する高い感度を示すほか、DiAcSpm値の推移は大腸がんの治療効果、再発・転移の指標、患者の予後の指標としても有用であることを明らかにすることができた。今年度は、東京都職員健康診断の協力を得て、多数の健常者から尿検体の提供を受け、異常検出の基準値を設定するための健常者尿中DiAcSpmレベルについて詳細に検討した。その結果、DiAcSpm排泄量のクレアチニン補正値は男性と比較して女性は有意に高値を示すことが明らかになった。このことは今後の異常の判定の際に、大きな意味を持つ知見であると考えられる。肺がんの診断と関連して、喫煙習慣が尿中DiAcSpmレベルに影響を及ぼすかどうかについても検討したところ、喫煙は全く影響しないことが明らかになった。一方、膵臓がん患者についてDiAcSpmレベルを測定したところ、既存マーカーCA19-9ではほとんど検出できない0期およびI期のがんでDiAcSpmが高頻度で上昇することが示唆された。
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Research Products
(14 results)