Research Abstract |
電気泳動によるヒト血清アルブミン(HSA)の三次構造の変化を用いて環境中化学物質の感作性を調べる方法(特許出願平成18年8月)を,オルトーフタル酸アルデヒドなどの化学物質に対して実施し,同方法の有用性をより多くの化学物質で確認した。一方,一般環境で我々が曝露している化学物質の多くは混合物として存在しており,その感作性は不明であることが多い。そこで,商品として市販されている化学物質(混合物)を対象に本方法による感作性を調べたところ,HSAの三次構造の変化が電気泳動で確認された。すなわち,本方法が混合物に対しても,有効であることが確認された。次に,無水フタル酸で処理したHSAをダイオードアレイ検出器高速液体クロマトグラフィー(DAD-HPLC)で分析すると,コントロール(未処理HSA)とは異なる保持時間のところに250nmより大きな波長の吸光度の蛋白質が確認され,抗原性提示蛋白質となっている可能性が示唆された。さらに病院、診療所、ホームページにて,化学物質アレルギー(気管支喘息,アレルギー性皮膚炎等)患者および健康正常者へ研究協力を求めたところ,平成20年3月の段階で約30名の登録を終了した。 Aldh2ノックアウトマウス(Aldh2-/-)およびその野生型マウス(Aldh2+/+)に125,500ppmのアセトアルデヒドを2週間吸入曝露し,鼻粘膜,肺,肝および背部表皮からDNAを抽出してアセトアルデヒドの付加を調べた。DNAを還元して得られるN^2-ethyl-deoxyguanosine(N^2-Et-dG),をLC/MS/MS(liquid chromatography tandem mass spectrometry)により測定したが,Aldh2+/+とAldh2-/-の間に肝におけるN^2-Et-dG個数の有意な差を認めなかった。
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