2007 Fiscal Year Annual Research Report
持続性炎症の遺伝的要因の究明とその生活習慣病への関与に関する分子疫学研究
Project/Area Number |
18390190
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
林 奉権 Radiation Effects Research Foundation, 放射線生物学・分子疫学部・免疫学研究室, 室長 (70333549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 洋一郎 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部, 副部長 (60333548)
得能 正英 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部, 来所研究員 (40288824)
中地 敬 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部, 部長 (00142117)
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Keywords | ゲノム / 放射線 / 炎症 / 生活習慣病 / 分子疫学 / 遺伝子多型 / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
1.炎症性ケモカインIL-8(CXCL8)遺伝子発現に影響し得る新たな遺伝子多型を検索、IL-8プロモータ領域の-253と-1位置に2つのA/TとG/TのSNPを見いだし解析を行った。この2つのSNPはハプロブロックを形成しており、その割合は健常者で46:43:11(TT/TT:TT/AG:AG/AG)であった。現在、このIL-8ハプロブロックとがんまたは糖尿病について関連分析を行い疾患発症との関係を調べている。 2.健常者175名について、炎症性ケモカインMCP-1の血漿中レベルを測定した。健常者の血漿中レベルの平均値は男性より女性が、また被爆していない人に比べて被爆した人が高値を示したが、統計的有意性は認められなかった。 3.放影研成人健康調査のサブコホート中の181人の胃がん症例と対照者1,576人を対象とする症例対照研究により、炎症関連遺伝子IL-10の遺伝子多型に基づき胃がんリスクと放射線量の間の関連性について調べた。その結果、4つのhtSNPで形成される一つのハプロタイプブロック(IL10-ATTA およびIL10-GGCGという二つの主要対立遺伝子)を同定した。非被爆者群と被爆者群の両方において胃がんリスクはIL-10ハプロタイプにより有意に変動すること(P<0.001)、そしてリスクを増大させる放射線影響は全ハプロタイプにおいて顕著であることが明らかとなった。またIL-10ハプロタイプ、放射線被曝および血漿中IL-10レベルの関連性について調べた。その結果、血漿中IL-10レベルはIL-10ハプロタイプにより上昇し(IL-10-GGCG/IL10-GGCG> その他のハプロタイプ)、また放射線量の増加に伴い上昇し、放射線被曝集団において血漿中IL-10レベルを胃がんリスクの代理バイオマーカーとして利用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(16 results)