2007 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者における重度化要因の解明と介護予防効果の検証
Project/Area Number |
18390191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻 一郎 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171994)
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Keywords | 疫学 / 介護保険 / 老化 / コホート研究 / 高感度CRP / 要介護 |
Research Abstract |
(1)要介護度の推移に関する記述疫学的検討:宮城県内の全市町村を対象に、平成12年度から同16年度までの各年度で介護保険の認定を受けている者全員を対象に、翌年度の要介護度等認定状況を調査した。これにより、要支援・要介護1レベルの軽度者における要介護度等の推移(維持・改善・悪化・死亡)を検討した。その結果、これらの値には相当な市町村格差があることが分かった。たとえば要支援からの悪化割合には、最高(54.8%)と最低(23.5%)との間で2倍以上の差があった。要介護1からの悪化割合も、最高(28.1%)と最低(14.8%)で約2倍の差があった。一方、要介護1からの改善割合には、最高(12.1%)と最低(1.1%)で10倍以上の差があった。地域格差の要因として、介護保険認定者の特性や提供サービスの内容などが考えられる。今後さらに検討を深めて、地域格差の要因を解明するものである。 (2)要介護度の改善・悪化に関わる要因に関するコホート研究:仙台市宮城野区鶴ヶ谷地区の70歳以上住民で、平成14・15年の高齢者総合機能評価(CGA)を受診した1,151名を対象として、本人の同意に基づき、死亡・転居や介護保険認定に関する状況を追跡している。この間、死亡者は36名、介護保険の認定を受けた者は111名であった。本年度は、炎症マーカーである高感度C反応性蛋白(CRP)レベルと介護保険認定・死亡リスクとの関連を検討した。その結果、高感度CRPの最低3分位群を基準とすると、最高3分位群の多変量補正相対危険度(95%信頼区間)は1.70(1.09-2.66)と有意な上昇が見られ、CRPレベルと介護保険認定・死亡リスクとの間には有意な量反応関係が認められた。以上より、高感度CRP値は介護保険認定・死亡リスクの予測因子たり得ることが示唆された。
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