2008 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者における重度化要因の解明と介護予防効果の検証
Project/Area Number |
18390191
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
辻 一郎 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171994)
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Keywords | 疫学 / 介護保険 / 老化 / コホート研究 / 高感度CRP / 要介護 |
Research Abstract |
(1) 要介護度の推移に関する記述疫学的検討 : 介護保険制度の改正により、要支援と要介護1の一部を対象とする新予防給付が平成18年度より始まった。制度改正前(平成12〜17年度)と制度改正後(平成18年度)との間で、宮城県内35市町村を対象に、要介護度等区分の推移(翌年度の維持・悪化・改善・死亡の各割合)を比較した。その結果、県全体で見る限り、要支援レベルでも要介護1レベルでも、制度改正の前後で各推移確率に変化が見られなかった。一方、市町村別では、悪化率が大きく減少しているところもあれば、増加しているところもあり、相当の格差があった。 (2) 要介護度の改善・悪化に関わる要因に関するコホート研究 : 仙台市宮城野区鶴ヶ谷地区の70歳以上住民で、平成14・15年の高齢者総合機能評価を受診した者を対象として、本人の同意に基づき、死亡・転居や介護保険認定に関する状況を追跡している。本年度は平成15年の参加者を対象に末梢動脈疾患(PAD)の有無(下肢上肢血圧比(ABI)≦0.9を「PADあり」)とその後の要介護認定の関連を調査した。解析対象者は介護保険利用の追跡調査に同意した927名のうち、ABI・運動機能を測定し、かつ当時、介護保険認定を受けていなかった786名とした。要介護認定者(要支援以上の認定)は4年間で129名確認された。分析の結果、「PAD無し」群に比べ「PADあり」群で多変量補正相対危険度(95%信頼区間)は2.06(1.15-3.71)と有意に高かった。しかし、運動機能の調整により相対危険度が1.69(0.93-3.08)と大きく減弱し、「PADあり」群における低下した運動機能が要介護認定に与える影響が大きいことが示唆された。
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