2007 Fiscal Year Annual Research Report
地域づくり型自殺予防対策の有効性に関する研究-ソーシャル・キャピタルモデルの構築
Project/Area Number |
18390193
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
本橋 豊 Akita University, 医学部, 教授 (10174351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 善博 秋田大学, 医学部, 准教授 (70344752)
佐々木 久長 秋田大学, 医学部, 准教授 (70205855)
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Keywords | 自殺予防 / 地域づくり / ソーシャル・キャピタル / マスメディア / 社会動員 |
Research Abstract |
地域づくり型自殺予防対策において、自死遺族対策の重要性の重要性が認識されつつあることに鑑み、身近な友人・知人が自殺で亡くなった時の態度に関連する要因につい、地域住民(7,521人)を対象とした疫学研究により明らかにした。6,383人の住民から回答が得られた。自死遺族に対する不適切な態度を取る者は、若い人、教育レベルの低い人、うつ尺度得点の高い人、身近で自殺した人がいないことが有意に関連していた。自死遺族対策においては、このような不適切な態度をとる人への啓発活動を効果的に行うプログラムが必要であると考えられた。次に、地域づくり型自殺対策におけるソーシャル・キャピタルモデルにおいては、地域のキーパーソンに対する重点的な啓発活動やマスメディアを動員したキャンペーン活動が有用ではないかと示唆されているが、実証的な研究が少ないことから、この点に関する検証を行った。秋田県の自殺対策と連携し、平成19年6月から、地域のキーパーソン(市町村長と議会議長)に対する重点的な啓発活動とマスメディアを動員したキャンペーン活動を半年間継続的に実施した。その結果、秋田県全体の,月別自殺者数は同年7月から減少傾向を示し、平成19年の秋田県の自殺者数は前年と比較して76人の減少を示した。社会動員的な強力な啓発活動の継続的実施は地域のソーシャル・キャピタルの強化につながり、結果として自殺者数の減少をもたらしたのではないかと推察され、地域づくり型自殺予防対策におけるソーシャル・キャピタルモデルの有用性を示唆するものと考えられた。
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