Research Abstract |
当研究課題は,全国47都道府県に在住する女性看護職を対象として,ホルモン補充療法など女性におけるヘルスケア利用の実態把握を横断的に行う.そして,それら保健医療習慣の健康への影響を10年間の前向きコホート研究(2年に1度の追跡調査票送付)から評価することを目的としている.平成13年〜19年に実施したベースライン調査には49,927人が回答し,そのうち追跡調査に参加した前向きコホート対象者は約15,0001人である.今年度には,6年後調査対象者5,623人,4年後調査対象者4,194人,2年後調査対象者2,322人から追跡調査票の回答を得た.また,癌・循環器疾患の新規発症を報告した対象者には,疾病発生確認の詳細調査を実施した. 閉経後ホルモン補充療法については,閉経後女性の半数近くが利用するといわれる欧米諸国に比べて,従来からわが国での利用は少ないと言われてきたが,その使用実態は詳かではなかった.また,米国の大規模疫学研究WHI研究が,その閉経後ホルモン補充療法臨床試験にて冠動脈疾患の一次予防効果は無いとする早期申止報告を2002年に出した.この報告直後には,欧米諸国での急激な利用の減少が報告されている.そこで,今年度はべ一スライン調査のデータ固定を行い,ホルモン補充療法利用の年次変化の分析を行った. ベースライン調査時45〜64歳の女性16,669人における,閉経後ホルモン補充療法の利用経験者の割合は7.5%であった.年次別にみると2001年7.0%,02年7.6%,03年9.5%,04-05年9.6%,06-07年8.1%であった.現使用者に限っても,2001年3.2%,02年3.3%,03年32%,04-05年3.3%,06-07年2.8%と,ほとんど変化がなく,欧米で報告されている2002年における利用者の大きな減少は見られなかった.
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