2009 Fiscal Year Annual Research Report
全国女性看護職コホートにおける生活保健習慣の変化と健康事象に関する経時観察調査
Project/Area Number |
18390195
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
林 邦彦 Gunma University, 医学部, 教授 (80282408)
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Keywords | コホート研究 / 女性の健康 / 女性ホルモン / 生活習慣 / 疫学研究 |
Research Abstract |
全国女性看護職コホート研究(JNHS)における保健習慣として、平成21年度は周閉経期におけるホルモン補充療法(HRT)を取り上げた。HRTは、更年期症状緩和の第一選択治療として世界で広く用いられている。各国の女性コホート研究では、更年期症状緩和のほかに、ベネフィットとして冠動脈疾患減少、大腸癌減少、骨粗鬆症・骨折の減少、リスクとして乳癌増加などが報告されてきた。しかし、冠動脈疾患におけるHRTの一次予防効果を検証しようとした米国WHI臨床試験では効果はみられず、試験の早期中止を2002年7月に報告した。この報告は世界に大きな衝撃をあたえ、欧州や北米のHRT使用に影響を与えた。一方、わが国ではHRT使用を正確に調査したものが少なく、近年のわが国におけるHRT使用実態は詳かではない。そこで、わが国での使用実態を明らかにし、WHI報告前後の利用の変化をみた。 2001年から2007年に実施したJNHSベースライン調査において、調査時年齢が45~64歳の閉経前後の女性16,669人を対象にHRT使用歴の分析を行った。対象者におけるHRT使用は、写真付き薬剤リストで使用薬剤を特定するとともに、自記式調査票によって調査した。閉経後女性におけるHRT現使用者割合は、WHI報告前で5.8%、WHI報告後で5.7%と変化はなかったが、開始後1年未満の新規使用者の割合が減少していた。使用されるエストロゲンの剤形では、結合型経口剤の割合が減り、貼付型など経皮吸収剤の割合がWHI報告後に有意に高くなっていた。また、過去使用者割合はWHI報告前には6.9%であったが、WHI報告後には9.8%と統計学的に有意な増加が観察された。 諸外国で報告されたWHI報告後におけるHRT現使用者の急激な減少は、わが国ではみられなかったが、過去使用者の増加、新規使用者の減少など少なからず影響があったといえる。
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Research Products
(6 results)