2007 Fiscal Year Annual Research Report
母子健康影響因子となる臭素系難燃剤及び塩素・臭素化ダイオキシン類の汚染実態の究明
Project/Area Number |
18390202
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
太田 壮一 Setsunan University, 薬学部, 准教授 (10213729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助教 (20248066)
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 助手 (20288971)
落合 富美江 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (20295554)
清水 嘉子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (80295550)
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Keywords | 塩素・臭素化ダイオキシン類 / Co-PCBs / コプラナー塩素・臭素化ビフェニル / 母乳汚染 / 魚介類汚染 / 食品汚染 / 地球規模汚染 / 非意図的生成物 |
Research Abstract |
人体汚染実態の解明の一環として、6人の経産婦と4人の初産婦の母乳を用いて、上記汚染物質の分析を行い、我が国の人体汚染に関する基礎的検討を行った。「その結果、Co-PXBsの平均TEQ濃度において、初産婦では、0.75pg、経産婦では0.79pgであり、大きな濃度差は観察されなかった。また、Co-PCBsでは、初産婦では4.2pg、経産婦では2.5pgであった。この結果から、Co-PXBsの汚染レベルは、Co-PCBsのそれよりも低濃度であったものの、無視できるレベルではなく、今後、より詳細な検討が必要であるものと推察した。次に、著者は同一試料中の塩素化および塩素・臭素化ダイオキシン類の同族体・異性体の汚染パターンを解析することにより、Co-PXBsの汚染源の特定を試みた。その結果、特微的な異性体の1つである#126Aのピークが全試料中に、一方、もう1つの特微的なピークである#126Bは、魚試料だけに検出されていたことより、野菜や獣肉では、焼却場由来の汚染の可能性は、比較的高いものと推察されたのに対して、魚に関しては、その汚染源を特定するまでには至らなかった。さらに、捕獲地域が判明している市販の輸入魚を用いて、Co-PXBsによる世界の海洋汚染実態に関する基礎的検討を試みた。その結果、様々な海域で捕獲された全ての試料からCo-PXBsが検出されたこ、と、また、他の海域の魚の汚染レベルと比較して、東シナ海で捕獲された魚(サワラ;0.96pg、サバ;0.88pg)に高濃度汚染が観察された。この理由としては、近年、発展が著しい中国や韓国といった新興工業国や、先進工業国の日本に近接している東シナ海が世界的にも高汚染海域であることを示唆するものであり、注目に値する。また、興味深いことには、南半球を回遊しているミンククジラにも検出されたことは、Co-PXBsによる海洋汚染は、全世界的規模の汚染であることを示唆するものであった。
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Research Products
(11 results)