2007 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存症者に対する心理プログラムの有効性に関する多施設研究
Project/Area Number |
18390203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 展彰 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10251068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 陽二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30164221)
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Keywords | 薬物依存症 / 心理プログラム / 認知行動療法 / 社会復帰 / 多施設研究 / 介入研究 / 自助グループ |
Research Abstract |
薬物依存症者に対する認知行動療法を多施設で実施し、その効果を検証することおよび、薬物依存症者のタイプによる効果の違いを検討し、対象者にあったプログラムを検討することが本研究の目的である。現在までに、山口県美祢社会復帰センター(刑務所)、栃木県喜連川社会復帰センター(刑務所)、精神病院、精神科クリニックでの介入を施行している。その結果はまだプログラムを継続中であるので中間的なものであるが、海外で用いられている認知行動療法は、日本の薬物依存症者にも十分受け入れられ、質問紙調査の結果からも薬物摂取衝動に対する自己効力感が高めることができることが確かめられてきている。但し、感情表現が欧米の患者よりも慣れていない面もあり、絵画やロールプレイなど用いたワークを導入することで、効果を上げられることもわかってきて、プログラム内容に取り入れている。また、実生活から離れている刑務所内の対象者で薬物使用欲求のきっかけをリアルに想像させた上で、その対処法を練習させるキュー暴露法が有効であることがわかってきた。他に、対象者の要因と治療効果の関係をみると、男性と比べると女性では、薬物そのものの問題以上にトラウマや対入関係の問題に焦点あてる必要があること、乱用薬物により介入を変えた方が効果的であること、などの結果がでてきている。今後、さらにダルクなどの自助施設での介入も行う予定であり、医療、司法、自助グループという3領域におけるプログラムの有効性を比較検討する予定である。以上のような研究を通して、施設条件や被験者の属性に適合した内容で有効性が実証された薬物依存症に対する認知行動療法プログラムを確立することは日本の薬物依存症の治療に意義があると考えている。最終的な研究の成果として、プログラムのマニュアルを公開し、様々な援助機関で利用してもらえるようにしたいと考えている。
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Research Products
(6 results)