2008 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存症者に対する心理プログラムの有効性に関する多施設研究
Project/Area Number |
18390203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 展彰 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10251068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中谷 陽二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (30164221)
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Keywords | 薬物依存 / 心理プログラム / 認知行動療法 / 社会復帰 / 多施設研究 / 介入研究 / 自助グループ |
Research Abstract |
本研究の目的は、薬物依存症の治療を行っている多施設の薬物依存症者に対して心理社会的プログラムを施行し、その有効性を検証するものである。民間の薬物依存症社会復帰施設DARCと、刑務所と精神科病院で薬物依存症者に対する認知行動療法プログラムを実施し、以下のような結果を得た。1)DARCにおける実施では、入所者を介入群と対照群に分け、介入群でプログラムを施行する前後に、両群において質問紙調査を施行した。その結果、介入群では、プログラムは、薬物依存に対する自己効力感を改善させ、身体的な健康度を促進する可能性が示唆されたが、対照群ではこの変化は認められなかった。しかし、介入群でも薬物摂取衝動のもととなる感情的な側面の改善は十分といえなかった。2)刑務所では、プログラム前後の変化を検討したところ、薬物に対処する自己効力感が向上し再使用リスクが低下しているという所見が得られた。更に主観的な有効性調査の結果、参加者が効果を実感していることが確認できた。3)精神科病院でのプログラム実施では、プログラム前後での比較により、薬物に対する自己効力感の向上を認めるケースが多かったが、一方で合併する精神障害の重症度が結果を左右した。以上から、施設の違いを超えて、プログラムの有効が有効であること、特に、薬物使用に至るきっかけ、感情、行動の連関を認識できるようになり、対処の自信を向上する効果があることが確認された。一方、薬物依存の根底にある感情的問題については、刑務所のプログラムでのみ明確な効果を認めたが、DARCや病院の施行ではその効果は明確ではなく、事例による差が大きかった。刑務所の方が義務的に長期のプログラムを行うことができる点や病院やDARCで対象者が持つ精神的な問題が大きいことがこうした差違になっていると考えられた。今後、機関の性質にあったプログラム内容を検討して行く必要があると思われた。
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Research Products
(4 results)