2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の心血管疾患病態における酸化ストレスの関与に関する研究
Project/Area Number |
18390204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 謙一 東京大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40166947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 公一 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30244586)
新谷 香 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (50345047)
高橋 香 東京大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90363803)
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境部, 教授 (30220081)
木村 博子 順天堂大学, 医学部, 講師 (00053299)
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Keywords | 循環器・高血圧 / ストレス / シグナル伝達 / 糖尿病 / 酸化ストレス / 心筋虚血 / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
1.早期感染症動物モデルにおける過酸化脂質4-Hydroxynonenal (HNE)の発生源と生理的意義について 1)ラットにリポ多糖(LPS)を腹腔内投与し、腸管粘膜のHNE生成を検討した。投与20分のピークに一致して、腸管の単球のHNEが濃染し、その後、IgAとともに腸管粘膜全般に拡散した。分泌されたIgAは、HNEで修飾されており、大腸菌に対する試験管内のIgA殺菌能はHNE修飾により低下していた(Kimura et al Free Rad Biol Med)。 2)ラットを卵巣摘出した群とエストロゲン補充をした群を比較すると、血中HNEは前者が高く、心理ストレス負荷後の回復期に上昇していた。卵巣摘出群は、インスリン抵抗性、および内臓肥満を示していることより、閉経後女性のメタボリック症候群のモデルとなることが確認された(投稿中)。 2.虚血心筋障害、およびその保護に関する研究 3)ラット心筋培養細胞を短時間虚血再灌流(Ischemic Preconditioning : IP)に暴露した後、長時間の虚血による細胞死が抑制される。この現象に、小胞体シャペロン蛋白であるGRP78の誘導が関与していることを明らかにした(Shintani-Ishida K et al. BBRC)。 4)ラット冠動脈結紮による虚血モデルにおいて、IP、およびp38MAP kinase阻害剤は、TNF-α分泌によるミトコンドリアの障害を抑制することを明らかにした(Kimura H et al. Life Sci)。 3.ヒト事例におけるHNE測定 5)急性冠症候群患者は、安定狭心症患者に比べて、血中HNEが上昇していることを明らかにした。また、心筋梗塞患者の血中HNEが上昇しており、回復とともに正常化することを見出した。現在、疾患群、対照群の症例を集めている。 6)基礎疾患のない中年と若年の女性の血中HNEを測定した。中年女性が高い傾向を示し、カラーワードテストによる心理ストレス負荷後の回復期に上昇を認め、同様に拡張期血圧が持続的に上昇していた。身体ストレスには、このような効果はなかった。真理ストレスによる血圧上昇に酸化ストレスが寄与している可能性が示唆された。さらなる検討を予定している。
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