2007 Fiscal Year Annual Research Report
消化器発癌における脂質と酸化ストレスの役割の解明遺伝子改変動物モデルを用いて
Project/Area Number |
18390213
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡辺 純夫 Juntendo University, 医学部, 教授 (20138225)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 泰夫 秋田大学, 医学部, 講師 (30282164)
大嶋 重敏 秋田大学, 医学部, 助教 (50375268)
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20317382)
|
Keywords | 脂肪性肝炎 / PTEN / 酸化ストレス / 肝発癌 / 抗酸化剤 / N-アセチルシステイン |
Research Abstract |
食生活習慣の欧米化などに伴い、近年わが国でも肥満、耐糖能異常、高血圧、高脂血症などが複合したメタボリックシンドロームが増加傾向にある。メタボリックシンドロームの肝病変である非アルコール性脂肪肝の中には炎症、線維化を伴う進行性の肝疾患である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:)が含まれ、その一部では肝発癌が見られることが問題になっている。私たちはこれまでCre-LoxPシステムを用いたPTEN(phosphatase and tensin homolog)遺伝子の肝細胞特異的欠失マウスを作成し、この遺伝子改変動物モデルではヒトのNASHに極似した脂肪性肝炎を自然発症し、さらに炎症・線維化の進展に伴い高率に肝発癌が認められることを見出し報告してきた(Horie, et. al.J.Chn.Invest.2004)。本研究では、脂肪性肝炎からの発癌機構における酸化ストレスの関与に焦点を絞り、検討を進めている。実際、抗酸化剤であるN-acetylcysteine(NAC)に加え、ursodeoxychohcacid(UDCA)やeicosapentaic acidなどの投与により、PTENノックアウトマウスの脂肪性肝炎発症および発癌が抑制されることが明らかになった。従って、NASHの進展には酸化ストレスの充進が主軸的な役割を果たしており、酸化ストレスの解除が肝発癌のケモプリベンションの観点からも極めて重要であることが示唆された。
|