2006 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるNK細胞感受性の分子機構の解明と腫瘍免疫治療法の開発
Project/Area Number |
18390216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70335355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30362700)
巽 智秀 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (20397699)
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Keywords | NKレセプター / MICA / MICB / Soluble MICA / Soluble MICB / NKG2D / 肝がん / 肝硬変 |
Research Abstract |
NKG2DリガンドであるMICA/Bは細胞膜上で酵素依存的な切断を受け、血清中に放出されることが知られている。肝疾患における可溶型MICA/B(sMICA/B)の動態を俯瞰するため、健常者104例、慢性肝炎患者141例、肝硬変患者104例、肝がん患者232例の保存血清を用いてsMICA/Bの測定を行った。sMICA、sMICBともに健常者に比し、慢性肝炎患者で有意に高値であり、さらに肝硬変患者では慢性肝炎より高値、肝がん患者では肝硬変患者より高値であった。肝生検が行われていた98例のサンプル用いて検討すると、sMICA、sMICBともに線維化ステージの進行に伴いその血清濃度が上昇した。肝硬変・肝がん患者のサンプルを用いて多変量解析を行うと、Child-Pughスコアと肝がんの有無がsMICAおよびsMICBの濃度に寄与する因子であった。なお、血清sMICAとsMICBの間には有意な相関はみられなかった。以上のことより、sMICAとsMICBは肝臓の線維化と発がんに関連して上昇する血清マーカーであることが示された。sMICAとsMICBのカットオフ値をそれぞれ550pg/mL、850pg/mとして患者の生存との関係を解析すると、sMICAあるいはsMICBが高値の患者は有意にその予後が不良であった。sMICAおよびその近縁分子であるsMICBはNK細胞のNKG2D発現を低下させる機能分子であることから、慢性肝疾患の進展に伴うsMICA/Bの上昇はこのような病態からの高率な発がんのひとつのメカニズムになっている可能性があると考えられた。また、sMICA/Bは肝がんの進展と背景肝疾患の進行に伴い上昇する血清マーカーであり、肝がん患者の予後を推定する上で有用なマーカーとなることが示唆された。
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Research Products
(6 results)