2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌におけるNK細胞感受性の分子機構の解明と腫瘍免疫治療法の開発
Project/Area Number |
18390216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹原 徹郎 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (70335355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 直樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30362700)
巽 智秀 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (20397699)
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Keywords | 肝がん / NKレセプター / MICA / NKG2D / TAE / 自然免 / NK細胞 |
Research Abstract |
肝がんではMICAの高発現がみられる。NK細胞のNKG2DレセプターはMICAにより刺激され、NK細胞を活性化する。肝がんがNK細胞の標的になるためにはこのMICA-NKG2D経路が重要である。昨年度の研究において、肝がん患者ではMICAが可溶型として血中に分泌され、疾患の進行に伴い高値になることが明らかとなった。可溶型MICAはNKG2Dの発現を低下させることにより免疫抑制的に働くことが指摘されているが、実際にヒトの体内でこのような現象がおこっているかどうかは不明である。今年度は肝がん患者に治療介入を行うことにより、血中MICAおよびNKG2D発現がどのように変動するかを解析し、両者の生体内での関連について検討を行った。TAE治療を行った肝がん患者38名と治療を行わなかった肝がん患者21名を登録し、治療前と治療後2週間の血清MICAをよびNKG2D発現を前向きに解析した。TAE治療介入により血清MICAは有意に低下したが、対照群では2週間の間ではMICA値の変化は認めなかった。NKG2D発現はNK細胞CD8陽性細胞のいずれにおいてもTAE治療介入により有意にその発現が上昇したが、対照群では変化がみられなかった。MICAの変動とNKG2Dの変動の間には負の相関が認められた。肝がん患者における可溶型MICAは治療介入により低下し、それに伴ってNKG2Dの発現は改善した。両者の間には負の相関があることから、血中のMICAは免疫細胞におけるNKG2Dの発現をダイナミックに調節していることが示唆された。以上のようなことから、肝がんに対する治療介入はNKG2Dに基づく免疫環境を改善する可能性があると考えられる。
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Research Products
(9 results)