2006 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン様増殖因子系と細胞外基質分解酵素を標的とする消化器発癌・進展機構解明
Project/Area Number |
18390220
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40332910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠村 恭久 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90162619)
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Keywords | インスリン様増殖因子 / 細胞外基質分解酵素 / 消化器癌 / マイクロサテライト不安定性 / IGF-I receptor / dominant negative / Akt-1 / bystander効果 |
Research Abstract |
消化器癌の発癌・進展における細胞増殖因子insulin-like growth gactor(IGF)系と細胞外基質分解酵素matrix metalloproteinase(MMP)の役割の解明を、マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability ; MSI)との関連も含めて解析し、診断、治療等に臨床応用可能な成果を挙げることを目的とし系統的に解析した。食道癌細胞株にdominant negative(dn)として働くIGF-I receptor(IGF-Ir/dn)を発現させ、IGF-Ir阻害による腫瘍増殖抑制とアポトーシス誘導を試みるとともに、下流のシグナル伝達に与える効果を検討した。IGF-IIおよびIGF-Irの発現は、食道癌の進行度と相関し、さらに、再発および予後不良のマーカーとなることを明らかにした。IGF-Ir/dnは食道癌細胞株の増殖を強く抑制し、アポトーシスを誘導した。IGF-Ir/dnは主としてAkt-1を介したシグナルを阻害していることを明らかにした。IGF-Ir/dn 482stは分泌型蛋白を発現するため、導入細胞のみならずその周辺の細胞に対するbystander効果を発揮し、より強い抗腫瘍効果を示した。従って、IGF-IIおよびIGF-Ir発現は、食道癌で重要な役割を担っており、IGF-Ir/dnは食道癌に対する分子標的治療として有用であることを明らかにした。さらに、消化器癌において、IGFやMMPと関連する分子異常を明らかにした。
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