2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス培養系による感染増殖効率規定因子の解析と新規治療標的候補の探索
Project/Area Number |
18390225
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
脇田 隆字 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (40280789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 朋子 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 研究員 (40392360)
森川 賢一 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 協力研究員 (60384377)
相崎 英樹 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (00333360)
村上 恭子 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 研究員 (30399456)
石井 孝司 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 主任研究官 (40280763)
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Keywords | HCV / ウイルス / 感染実験 / ウイルス複製 / インターフェロン |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症は持続感染化して慢性肝炎から肝硬変、肝臓癌に至る疾患を引き起こす。HCVはプラス鎖RNAをゲノムとするウイルスであり、ウイルスゲノムの変異が多い。ウイルスゲノムの変異がウイルスの持続感染化に関与すると考えられているがその詳細は不明である。HCVの研究はウイルス培養系が存在せず、感染性ウイルスを用いた研究ができなかった。我々が分離したJFH-1株は培養細胞で感染および増殖複製が世界で初めて可能であることを報告した(Wakita T,et al.Nature Medicine 2005)。本研究の目的は、HCVがどのような機構で感染増殖効率を規定しているかを解析して、新たな抗ウイルス戦略の標的を探索することである。本年度の研究成果の概要を述べる。 1.試験管内で合成した全長のウイルスRNAを培養細胞中に導入してその複製を解析した。ウイルスRNA導入後、細胞内でウイルスRNAは自律的に複製増殖した。培養上清中に分泌されたウイルスはHuh7細胞を用いて感染力価を定量することができた。この複製増殖にはNS3ヘリカーゼ領域とNS5Bから3'X領域が重要であることが明らかとなった。 2.Huh7細胞は肝臓癌由来の培養細胞株でHCVに対する感染感受性を有する。しかし、Huh7細胞には感染感受性の異なる亜細胞株が存在した。この亜細胞株間の感染感受性は細胞表面のCD81の発現によって第一義的に規定されていることが明らかとなった。しかし、さらにRNA複製効率にも差があることから、複数の宿主因子の関与が考えられ、さらに解析中である。 3.ヒト肝細胞キメラマウスに培養細胞で作製したHCVを感染させた。感染ウイルスの変異は非常に少なかった。さらに、チンパンジーにもHCVを感染させた。約2ヶ月間ウイルス血症が持続し、感染後2週間目にはウイルス変異は無かったが、7週間後には11カ所の塩基置換を認めた。この変異の意義を解析中である
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