2007 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリン依存性リン酸化酵素Cdk9を標的とした心不全治療の開発
Project/Area Number |
18390239
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐野 元昭 Keio University, 医学部, 講師 (30265798)
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Keywords | 心肥大 / 転写 / エネルギー代謝 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Cdk9活性化による遺伝子発現様式の変化の分子生物学的機構の解明 これまでPGC-1αの活性制御に関する研究は代謝需要に応じてmRNAレベルでその発現が誘導されるというこの転写共役因子に特異的な性質に注目が集まり、タンパク質としてのPGC-1αの機能制御、すなわち、翻訳後修飾によるPGC-1αの機能制御や病態時におけるPGC-1αの機能異常、に関する研究は非常に遅れていた。我々は、(1)PGC-1αはユビキチン・プロテアソーム系によって分解を受ける半減期の短いタンパクであること、(2)核内で容易に凝集体を作りやすいという予想外の性格を持っていること、(3)この分解と凝集という一見相反する現象が分子内の異なったドメイン間の相互作用によって厳密に制御されて、それによってPGC-1αの転写コアクチベーターとしての機能が維持されていることを見出し報告した。J Biol Chem. 2007, 282(35):25970-80。 心肥大の予後に及ぼすCdk9の過度の活性化の抑制の効果 Cdk9の内因性の阻害分子であるHEXIM-1を心筋に発現させたマウス(HEXIM-1-TG)を作成した。低酸素下(11% O_2)で飼育し肺高血による右室肥大を惹起するとHEXIM-1-TGは野生型のマウスと比較して右室肥大の形成が抑制されていた。HEXIM-1-TGの心臓では、サイロイドホルモン受容体の発現が選択的に低下し、その標的遺伝子であるα-MHC、SERCAの発現が低下していた。また、変異型HEXIM-1(Cdk9と結合出来ない)-TGとの比較解析から、HEXIM-1にはCdk9の阻害作用とは独立した作用があることを見出した。
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Research Products
(12 results)