2006 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫に対する新規治療分子標的の探索と診断マーカーの開発
Project/Area Number |
18390245
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
関戸 好孝 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 部長 (00311712)
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Keywords | 中皮腫 / ゲノム / がん遺伝子 / 腫瘍抑制遺伝子 / 染色体 |
Research Abstract |
中皮腫の腫瘍組織、細胞株を用い、アレイCGH法にて網羅的ゲノム解析を行った。22名の中皮腫患者由来の17腫瘍組織と9株の細胞株を解析し、2304個のBAC/PACクローンがスポットされたアレイを使用した。20%以上の中皮腫に検出された増幅領域は1q、5p、7p、8q24、20pであった。同様に欠失領域は1p36.33、1p36.1、1p21.3、3p21.3、4q22、4q34-qter、6q25、9p21.3、10p、13q33.2、14q32.13、18q、22qであった。1p32.1と11q22領域は、頻度は少なかったものの複数の中皮腫で高度増幅を示した。1p32.1領域には原がん遺伝子JUNが局在していることを明らかにし、JUNの遺伝子増幅をサザンプロット法にて確認し、さらにリアルタイムRT-PCR法にて遺伝子過剰発現が起きていることを明らかにした。中皮腫におけるJUNの遺伝子増幅は報告がなく、今回の研究にてJUNの関与が中皮腫発生に深く関与していることが示唆された。 一方、9p21.3領域欠失は最も高頻度に検出されたゲノム異常であり、P16INK4a/pI4ARF遺伝子が局在している領域であった。検討した中皮腫細胞株のほぼ全例でP16INK4a/p14ARF遺伝子のホモザイガス欠失が検出され、その欠失領域は480kb程度のものから4Mbを超えるものも明らかにされた。同様に22q欠失とNF2腫瘍抑制遺伝子の高頻度不活性化も確認された。 アレイCGH解析法により、今までに明らかとなっていなかった中皮腫の染色体異常領域が複数検出され、これらの領域に新たな中皮腫発がん関連遺伝子の存在が強く示唆された。
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