2007 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫に対する新規治療分子標的の探索と診断マーカーの開発
Project/Area Number |
18390245
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
関戸 好孝 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子腫瘍学部, 部長 (00311712)
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Keywords | 中皮腫 / ゲノム / がん遺伝子 / 腫瘍抑制遺伝子 / 染色体異常 |
Research Abstract |
悪性中皮腫細胞株15例から抽出したゲノムDNAを用いてアジレント社製244Kアレイで網羅的ゲノム解析を行った。昨年度行った2304個のBAC/PACクローンアレイに比し染色体の増幅および欠失領域をさらに高解像度に検出することが可能であった。新規のホモザイガス欠失領域として染色体13q12、14q22、16q13領域が同定された。特に13q12領域、16q13領域の欠失に関してはそれぞれ3株、4株の複数の細胞株で欠失が認められ、これらの欠失領域内に悪性中皮腫に関わる新規腫瘍抑制遺伝子が存在していることが強く示唆された。同時にアジレント社の44Kアレイで網羅的遺伝子発現解析を行ったが、これらの欠失領域内に存在する遺伝子群の中で発現が著しく低下している遺伝子が複数個明らかにされた。 一方、昨年度明らかにした、2例の中皮腫腫瘍組織における染色体11q22の高度増幅領域について詳細に検討を行った。染色体増幅領域は最大3Mbであったため7個のプライマーセットを作成して定量的ゲノムPCR法にて検討したところ最も共通して高度増幅している領域は約1Mbの範囲であった。さらに、その領域内に存在する複数の遺伝子について定量RT-PCR法にて発現解析を行ったところ、YAP1遺伝子とBARC2遺伝子が共通して高発現しており中皮腫における11q22増幅領域の標的遺伝子である可能性が強く示唆された。 また染色体10q23領域に存在する腫瘍抑制遺伝子PTENを解析したところ2例の中皮腫細胞株でホモザイガス欠失が存在していることを明らかにした。PCR法にて切断点のクローニングを試み、ホモザイガス欠失領域サイズは7.7kbおよび39.4kbであることを明らかにした。
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