2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性中皮腫に対する新規治療分子標的の探索と診断マーカーの開発
Project/Area Number |
18390245
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
関戸 好孝 Aichi Cancer Center Research Institute, 分子腫瘍学部, 部長 (00311712)
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Keywords | 中皮腫 / ゲノム / がん遺伝子 / 腫瘍抑制遺伝子 / 染色体異常 |
Research Abstract |
昨年度、アジレント社製244Kアレイで同定した悪性中皮腫細胞株の16p13ホモザイガス欠失領域についてさらに検討を加えた。ホモザイガス欠失領域内にMMTS1遺伝子(仮称)を同定し、予想アミノ酸配列がRNA結合モチーフを有していることを明らかにした。PCR法にて詳細に検討したところ、MMTS1遺伝子のエクソン3は4つの中皮腫細胞株において欠失し、欠失領域は互いにオーバーラップすることを確認した。 11q22増幅領域で同定されたYAP遺伝子を中皮腫細胞株でshRNAを用いてノックダウンしたところ、中皮腫細胞の増殖が抑制された。さらにYAP蛋白が制御を受ける、Hippoシグナル伝達経路の上流に位置するNF2(マーリン)を中皮腫細胞に導入したところ、YAPはリン酸化され、核内から核外に局在が変化し転写コアクチベーターとして不活化されることを明らかにした。YAP遺伝子が中皮腫細胞にとってがん遺伝子機能を有することを明らかにし、YAPを制御することが中皮腫に対する新たな分子標的治療法になりうる可能性が示唆された。 また、中皮腫において染色体転座による遺伝子異常の有無を解明するためにFISH法を用いて肉腫等の固形癌で報告されている領域の染色体の解析を行った。さらに、アフィメトリックス社のDNAマイクロアレイを用い、中皮腫細胞株において発現異常を来している遺伝子を網羅的に解析した。中皮腫において発現異常が既に報告されている遺伝子の他に、共通して発現が亢進・低下している新規遺伝子を複数個同定し、新規のがん遺伝子・がん抑制遺伝子候補を明らかにした。
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