2008 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門・血液神経関門を標的とした難治性神経疾患発症機構の解明と新規治療法開発
Project/Area Number |
18390259
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
神田 隆 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (40204797)
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Keywords | 血液脳関門 / 血液神経関門 / プロテオーム / 神経免疫学 / ドラッグデリバリー / 多発性硬化症 / トランスポーター / ギラン・バレー症候群 |
Research Abstract |
文書による同意によって得られたヒト剖検材料から、温度感受性SV40large T antigen組み込みヒト血液脳関門由来血管周細胞不死化細胞株、および血液神経関門由来血管周細胞不死化細胞株を樹立した。とくに血液神経関門由来血管周細胞株は世界初の樹立であり、今後の血液神経関門研究に及ぼすインパクトは大きい。前年度に樹立したヒト血液脳関門および血液神経関門由来微小血管内皮細胞不死化細胞株、およびヒト神経膠細胞不死化細胞株とあわせ、in vitroでの血液脳関門、血液神経関門を構成しうる細胞が、研究代表者の研究室ですべて使用できる状態となった。 バリアー由来血管周細胞細胞株は血管周細胞マーカーであるα-smooth muscle actin陽性であり、特徴的な不整形の形態をとっていた。同細胞の培養上清は血液脳関門・血液神経関門由来内皮細胞のTEERを増加させ、^<14>C-inulin透過性を減少させる効果を有していた。この内皮細胞に対するバリアー機能増強効果の少なくとも一部は、血管周細胞から放出されるbFGFの作用によることを明らかにした。本年度の研究成果によりバリアー由来血管周細胞は血液脳関門・血液神経関門の機能維持に必須の細胞であることが明らかになったが、このことは、血管周細胞を操作することにより血液脳関門・血液神経関門のバリアー機能をコントロールし、神経実質内への有用物質の導入や不要物質の排除を行うという新たな神経疾患治療戦略に新たな道を開くものである。また、バリアー機能の増強という神経膠細胞が血液脳関門に対して有している機能を、血液神経関門では血管周細胞が有していることが明らかになった。
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Research Products
(39 results)