2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫性神経疾患における「ジシアロシル基をもつ糖タンパク」に対する免疫反応の解析
Project/Area Number |
18390264
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
楠 進 近畿大学, 医学部, 教授 (90195438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 勝一 近畿大学, 医学部, 講師 (50388526)
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Keywords | 糖鎖 / 脳神経疾患 / 神経科学 / 脳・神経 / 免疫学 / ガングリオシド / シアル酸 / 末梢神経 |
Research Abstract |
本研究は、感覚障害性失調性ニューロパチー(sensory ataxic neuropathy, SAN)患者血中の、「ジシアロシル基をもつガングリオシド」に反応をもつモノクローナル抗体(IgM Mタンパク)が交叉反応する糖タンパクの解析である。そのためのプローブとして、ジシアロシル基をもつガングリオシドと糖タンパクの両方に反応することが文献的に報告されているS2-566に着目し、その反応性を検討してGD3に対する反応を確認した。現在本抗体を用いてマウス脳のタンパク成分との反応を検討中である。陽性所見の得られたタンパクについては、SAN患者血中のIgMMタンパクとの反応を検討し、さらに後根神経節(dorsal root ganglion, DRG)における抗原の同定をすすめていく。一方ジシアロシル基をもつガングリオシドに対する抗体によるSANのモデルである、「GD1b感作によるウサギSAN」では、症状の重篤度に比して病変の首座であるDRGの病理変化が軽微であることが特徴であった。本年度このSANをきたしたウサギから採取したDRGの神経細胞核に、TUNEL法にて陽性所見を得、本モデルの病態がapoptosisによることを明らかにした。この型のSANはapoptosisによるのではないかという可能性は従来指摘されていたが、明らかな所見を得たのはこれがはじめてである。これにより、症状の重篤なウサギのDRGにおいても炎症所見がほとんどみられないことが説明可能となり、SANの病態解明において大きな進歩を得ることができた。今後抗GD1b抗体、あるいはジシアロシル基を認識する抗体のDRG神経細胞への結合が、どのようなメカニズムでapoptosisにつながるかの解明が必要である。上記のジシアロシル基をもちSAN血中抗体の標的となる糖タンパクを同定し、その機能を明らかにすることができれば、本病態メカニズム解明につながると考えられる。
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