2007 Fiscal Year Annual Research Report
免疫性神経疾患における「ジシアロシル基をもつ糖タンパク」に対する免疫反応の解析
Project/Area Number |
18390264
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
楠 進 Kinki University, 医学部, 教授 (90195438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 勝一 近畿大学, 医学部, 講師 (50388526)
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Keywords | 糖鎖 / 脳神経疾患 / 神経科学 / 脳・神経 / 免疫学 / ガングリオシド / シアル酸 / 末梢神経 |
Research Abstract |
本研究は、深部感覚障害による失調性ニューロパチー(sensory ataxic neurop athy,SAN)患者血中の、「ジシアロシル基をもつガングリオシド」に反応するモノクローナル抗体(IgMMタンパク)が交叉反応する糖タンパクに関するものである。そのためのプローブとして、ジシアロシル基をもつガングリオシドに広く反応するMタンパクをもつ患者血清を用いて、ヒトの神経組織のタンパク成分との反応をWestern blottingにより検討したところ、いくつかの陽性バンドが得られた。陽性所見の得られたタンパクについては、モノクローナル抗体S2-566など他のジシアロシル基を認識するプローブとの反応も検討し、どのようなタンパクであるかの同定をすすめていく。一方ジシアロシル基をもつガングリオシドに対する抗体によるSANのモデルである「GD1b感作によるウサギSAN」では、後根神経節(DRG)の病理変化が軽微であることに着目してapoptosisの可能性を考え、昨年度TUNEL,法にて一部の細胞に陽性所見を得ていた。本年度TUNEL陽性細胞が大型細胞であること、抗caspase 3抗体による免疫染色でも染色されることを示し、本モデルの病態がDRG大型細胞のapoptosisによることを明らかにした。またGuillain-Barre症候群にみられる抗GD 1b抗体の、GD 1aなど他のガングリオシドとGD 1bの形成するエピトープ(ガングリオシド複合体、GSC)との反応を検討し、失調をきたす例ではGSCには反応しないGD 1bに特異性の高い抗体が上昇することを明らかにした。今後抗GD 1b抗体、あるいはジシアロシル基を認識する抗体のDRG神経細胞への結合が、apoptosisを引き起こすメカニズムの検討が必要である。ジシアロシル基をもつ糖タンパクが同定され機能がわかれば、SANのさらに詳細な病態が解明されると考えられる。
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