2008 Fiscal Year Annual Research Report
免疫性神経疾患における「ジシアロシル基をもつ糖タンパク」に対する免疫反応の解析
Project/Area Number |
18390264
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
楠 進 Kinki University, 医学部, 教授 (90195438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 勝一 近畿大学, 医学部, 講師 (50388526)
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Keywords | 糖鎖 / 脳神経疾患 / 神経科学 / 脳・神経 / 免疫学 / ガングリオシド / シアル酸 / 末梢神経 |
Research Abstract |
本研究は、深部感覚障害による失調性ニューロパチー(sensory ataxic neuropathy, SAN)患者血中の、「ジシアロシル基をもつガングリオシド」に反応するモノクローナル抗体(IgM Mタンパク)が交叉反応する糖タンパクに関するものである。そのためのプローブとして、ジシアロシル基をもつガングリオシドに広く反応するMタンパクをもつ患者血清やモノクローナル抗体S2-566を用いて、ヒトの神経組織のタンパク成分との反応をWestern blottingにより検討したところ、いくつかの陽性バンドが得られた。ジシアロシル基をもつGD3類似の構造をもつと報告されているGD3レプリカペプチドについて、抗GD3抗体と反応することを確認後、それを用いてマウスを感作した。得られた血清の反応性を現在解析中である。一方、昨年度Guillain-Barre症候群(GBS)ではGD1bにきわめて特異性が高い抗体の上昇が失調の病態に関連することを報告したが、今年度はIgM Mタンパクを伴う慢性ニューロパチーだけでなく、GBSにおいてもGD1bを含むジシアロシル基をもつ複数のガングリオシドに反応するIgM型の抗体を伴う例があることを報告し、ジシアロシル基を標的に含むことがSANを引き起こす抗体として重要な条件であることを示した。またフィッシャー症候群やGBSでみられる抗GQ1b抗体について、GQ1bがGM1やGD1aと形成する複合体に特異性をもつ抗体陽性例が存在し、反応性が感覚障害の有無と関連すること、GM1とGa1NAc-GD1aの複合体に特異性をもつ抗体が伝導ブロックを高頻度に伴う純粋運動型のGBSにみられることを報告し、糖鎖に対する抗体と免疫性ニューロパチーの発症機序の関連および抗体の臨床的有用性についての新たな知見を報告した。
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Research Products
(7 results)