| Research Abstract |
申請者らは,低分子量GTPase Rab27aのエフェクター蛋白質granuphilinが,インスリン分泌穎粒の細胞膜ドッキングに必須であることを,granuphilinノックアウトマウス膵β細胞の解析により証明した。驚くべきことにドッキング顆粒の消失にもかかわらず,本マウスのインスリン分泌量は亢進し,耐糖能は改善していた。これまで分泌小胞の細胞膜ドッキングは次の膜融合反応を準備するための過程と考えられてきたため,この知見は予想外であった。そこで分泌穎粒の細胞膜ドッキングと膜融合の関係を調べるために,膵β細胞にインスリン-GFPをコードするアデノウィルスを感染させて,細胞膜直下の分泌穎粒の動態を全反射顕微鏡で解析した。その結果,正常細胞,granuphiliniノックアウト細胞ともに,グルコース刺激後早い時期より細胞膜より離れた部位の顆粒の開口放出が認められた。またノックアウトマウス細胞では刺激前の基底状態でも非ドッキング穎粒の開口放出増加が検知された。これらの知見は,少なくともインスリン穎粒の開口放出において,細胞膜ドッキングは必須の過程ではなく,むしろ膜融合を一時的に抑制することを示している。granuphilinと相互作用する分子として,syntaxin-la,Munc18-1,細胞膜リン脂質などが知られているが,変異体解析により,これら分子間相互作用のいずれが顆粒の細胞膜ドッキングや膜融合抑制に重要かを,現在,研究中である。
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