2006 Fiscal Year Annual Research Report
アディポネクチンの肥満による低下の原因となる新規転写因子の同定と増加剤の開発
Project/Area Number |
18390270
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授 (40372370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 直人 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員(助手相当) (50396719)
原 一雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50359600)
門脇 孝 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30185889)
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Keywords | 糖尿病 / アディポカイン / プロモーター |
Research Abstract |
(1)Deb1のin vivoにおける意義を明らかにする。:既に作製されたDeb1の欠損マウスのアディポネクチン発現量、分泌量を、糖・脂質代謝や肥満度とともに解析し、アディポネクチンが低下し、血糖値が増加している傾向が認められた。3T3L1細胞においてDeb1はDREに結合してアディポネクチン遺伝子の発現に関わる因子であり、細胞の肥大化に伴いDeb1の量が減少することによってアディポネクチン遺伝子の発現が減少することを見出した。 (2)肥満におけるDeb1発現低下のメカニズム解明。:肥満においてはDeb1の発現レベルそのものが低下しているのを見出した。肥満・脂肪細胞肥大化の状態においては、炎症や酸化ストレス、虚血などの要因が増えているのに加えて、全身におけるホルモンバランスや、脂肪細胞自身から分泌されるアディポカイン、あるいは脂肪組織における間質細胞や肥満に伴うインスリン抵抗性状態で集積してくるマクロファージから分泌されるサイトカインやケモカインの発現・分泌パターンが大きく異常を来たし、これ等の変化によってDeb1の発現レベルが低下しているのがを明らかになった。 (3)アディポネクチン発現増加剤の開発。肥満に伴って抗糖尿病・抗動脈硬化因子アディポネクチンが低下する責任転写因子Deb1の発現が酸化ストレスや炎症によって制御されていることを見出した。実際にin vitroにおいて、抗酸化剤と抗炎症剤の同時投与によって、脂肪細胞肥大化に伴うDeb1,及びアディポネクチンの発現低下が解除されるのが観察された。これまで知られている抗酸化剤・抗炎症作用を有する薬剤や食品で、脂肪組織への特異的な組織移行がよいものを脂溶性の高いものからアディポネクチンの量を増加させることを指標にスクリーニングしている。
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