2006 Fiscal Year Annual Research Report
膵ベータ細胞におけるATPとcAMPのシグナル統合の分子メカニズム
Project/Area Number |
18390272
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
三木 隆司 神戸大学, 医学系研究科, 助教授 (50302568)
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Keywords | ATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネル / cAMP / ATP / GLP-1 / GIP / インスリン |
Research Abstract |
ATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネルは様々な興奮性細胞でATPを感知する代謝センサーとして機能している。膵β細胞においては、K_<ATP>チャネルはグルコースから産生されるATPを感知し、インスリン分泌を制御する重要な代謝センサー分子である。しかしながら、申請者らはK_<ATP>チャネル欠損(KO)マウスを用いた実験から、K_<ATP>チャネルが欠損した状況でも、GLP-1やGIPなどcAMPの濃度を上昇させるホルモンで刺激すると、膵β細胞がグルコースに対する応答が惹起されることを見いだした。そこでATPとcAMPのシグナルがどのように統合されているかについて検討した。この目的で膵灌流法を用いてインスリン分泌応答を調べたところ、cAMP誘導体の処置によりGLP-1やGIPと同様の効果が得られた。すなわち、細胞内cAMP濃度の上昇がK_<ATP>チャネル閉鎖によらないインスリン分泌を惹起することが明らかになった。さらに、グルコースの効果はATPの産生を抑制すると消失したことから、ATPがグルコース感知を媒介する細胞内シグナルとなっていると考えられる。このインスリン分泌応答はL型伝依存性Ca^<2+>チャネルの阻害剤であるNifedipineの処置により阻害されることから、cAMPとATPが細胞膜上に存在するイオンチャネルに作用し膜の脱分極を介してインスリン分泌が引き起こされる可能性が示唆された。また、このcAMPにより誘導されるグルコース応答性がcAMPセンサーであるEpac2の機能を介して発揮されているかを明らかにする目的で、さらにK_<ATP>チャネルとEpac2を共に欠損するダブル欠損マウスを作製した。今後、このマウスで膵灌流実験を行う予定である。
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Research Products
(7 results)