2007 Fiscal Year Annual Research Report
膵ベータ細胞におけるATPとcAMPのシグナル統合の分子メカニズム
Project/Area Number |
18390272
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三木 隆司 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (50302568)
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Keywords | ATP / グルコース感知 / インスリン分泌 / cAMP |
Research Abstract |
ATPは膵β細胞からのグルコースによるインスリン分泌を引き起こす重要な代謝シグナルである。一方,腸管ホルモンであるGLP-1やGIPは細胞内cAMP濃度を増加させ,グルコース濃度依存性にインスリン分泌を増強させる。しかしながら,cAMPがどのようにグルコース応答性にインスリン分泌を増強するかについてはほとんど明らかにされていない。申請者は膵β細胞でのATPセンサーであるK_<ATP>チャネルを欠損したマウス(Kir6.2KOマウス)でもATPとcAMPの両者が増加した時のみインスリン分泌を惹起することを見いだした。これまでの検討で,ATPとcAMPが細胞膜の脱分極を介して分泌を引き起こしていることが示されたため,今年度は膜の脱分極を担うイオンチャネルあるいはトランスポーターを同定することを目指した。候補分子としてCFTR,cyclicnucleotide-gatedlchannel,Na^+透過性非選択性カチオンチャネルの関与を検討した。しかしながら,CFTRの阻害剤,cGMPによる刺激,細胞外のNa^<+>イオンの除去により検討したが,いずれもcAMP誘導性グルコース応答性インスリン分泌に関与していないことが示され,これ以外のイオンチャネルの寄与が疑われた。また,細胞内Ca^<2+>ストアからのCa^<2+>放出の関与をthapsigarginを用いて検討したが,非特異的な阻害効果しか見られず,関与しないと考えられた。さらに,膵β細胞におけるcAMPの重要な分子標的であるEpac2とKir6.2のダブル欠損マウスを用いて検討したところ,ダブル欠損マウスでも同様な分泌が誘導されたことから,Epac2はcAMPによるグルコース応答性の獲得には必須の分子ではないことが明らかになった。
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Research Products
(8 results)