2009 Fiscal Year Annual Research Report
膵ベータ細胞におけるATPとcAMPのシグナル統合の分子メカニズム
Project/Area Number |
18390272
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三木 隆司 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (50302568)
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Keywords | cAMP / ATP / インスリン分泌 / Epac2 |
Research Abstract |
膵β細胞におけるグルコース濃度依存性のインスリン分泌はK_<ATP>チャネルの閉鎖を介して惹起され、血糖値の維持に中心的な役割を果たす。一方、腸管ホルモンは細胞内cAMP濃度の上昇を介しグルコース濃度依存性にインスリン分泌を増強させる。膵β細胞のcAMPセンサーであるEpac2はcAMPが結合することにより活性化されてインスリン分泌を増強する。申請者らは、Epac2の活性化を蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence resonance energy transfer、FRET)を用いて解析し、グルコースセンサーであるK_<ATP>チャネルを閉鎖しインスリン分泌を惹起させるスルホニル尿素剤が、Epac2を活性化することにより、インスリン分泌を惹起することを見いだした(Zhang et al.Science 325 : 607, 2009)。すなわちEpac2を用いたFRETプローブを作製したところ、cAMP非存在下ではFRETが起こるものの、cAMPで刺激するとFRETが消失した。この条件下で、スルホニル尿素剤であるトルブタミドとグリベンクラミドを処置するとFRETが消失し、Epac2の活性化が示唆された。さらに結合実験によりEpac2とグリベンクラミドの結合が示され、Rap1の活性化を指標として、トルブタミドおよびグリベンクラミドによるEpac2の活性化を直接的に確認された。スルホニル尿素剤のEpac2活性化を介したインスリン分泌への効果を検討する目的で、Epac2欠損マウスで検討したところ、Epac2欠損マウスではスルホニル尿素剤によるインスリン分泌は減弱していた。これらの結果から、スルホニル尿素剤はATPセンサーであるK_<ATP>チャネルを閉鎖するのみならず、cAMPセンサーであるEpac2活性化を介してインスリン分泌を引き起こすことが示された。
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Research Products
(7 results)